※本稿は、牧田善二『疲れない体をつくる最高の食事術』(小学館)の一部を再編集したものです。
「噛むこと」は体も心も疲れ知らずにするための基本動作
【基本1】丼ものより定食。早食いをしない
「なにを食べるか」によって、体に取り入れる栄養分が変わってくるのは当然のことです。さらに、疲労回復や健康維持には、それらを「どう食べるか」も非常に重要です。
食事の習慣としてまず大事なのは、ゆっくり「よく噛む」ことです。
食事内容は同じであっても、落ち着いた気分で食べれば心身の安らぎを得られます。それによって副交感神経が優位になり、リラックスできます。幸せホルモンであるセロトニンも放出されます。
そしてなにより、時間をかけることで血糖値の乱高下を防ぎます。
たとえば、茶碗1膳の米飯には、約50グラムの糖質が含まれます。この茶碗1膳の米飯を、早く食べればそれだけ一気に血糖値が上がります。
急激に上がった血糖値は、急激に下がってさまざまな不快症状をもたらし、慢性疲労を呼びます。
でも、ゆっくり食べれば、血糖値の上がり方が緩やかになります。
加えて、時間をかけてよく噛むことには、さまざまなメリットがあります。
そもそも、顎を動かす「噛む」という行為は、唾液を分泌させることはもちろん、胃腸の作動スイッチを入れてくれます。
脳の血流も良くなり、視床下部にも刺激を与えます。
つまり、噛めばそれだけ消化も良くなり、脳細胞の働きも活発になります。よく噛む食事こそ、体も心も疲れ知らずにするための基本動作とも言えるのです。
「太る食生活」は「疲れる食生活」とイコール
また、噛めば噛むほど、脳に「食べているよ」というシグナルが届き、ほどほどの量で満腹感が得られます。
早食いしていると、シグナルが届かないうちにたくさんの量を食べてしまい、満腹を求めてさらに食べる量を重ね、肥満に繫がります。
本書の1章でも述べたように、太る食生活は、疲れる食生活とイコールです。
ただ、長年の習慣で身についた癖はなかなか抜けません。そこで、意識的に噛む回数を増やし、時間をかけましょう。
できれば、一口20回噛むとか、食べ始めて30分は食事を終えないようにするとか、具体的な数値を決めて測ってみましょう。
一口ごとに箸はしを置くというのもいいでしょう。
ランチで外食するときは、丼ものではなく定食を選びましょう。どこかで購入するなら、簡単につまめるおにぎりやサンドイッチよりも、食べるのに時間がかかりそうな弁当を選びましょう。
忙しい状況にあると、つい、「さっさとかきこんで、おしまい」という食事スタイルになりがちです。
しかし、そこで食べているものが自分の体をつくっているのだということを忘れず、気がせいているときほど「ゆっくり」を心掛けてください。