ガイガーカウンターをつくる父
渡辺敦之(わたなべ・あつゆき)さんは、日大東北高3年生。将来の志望を聞く前に、渡辺さんのご両親とお兄さんの話を書こう。
「父は私立高校の先生をしています。先生って仕事、生徒に教えるだけなのかなと思ってたんですけど、父は震災のあとに、福島県産のガイガーカウンターを自作する団体を仲間たちと立てて。母は放射線測定の財団法人立てたりとか、福島県人権擁護委員会とか、民生委員とか、なんかいろいろやってるみたいです。家にいるよりは、そういう活動をしてたほうがいいっていうかんじ。あと、兄貴が旅人なんです。大学生なんですけど、タイに突然1人旅に行ったりとか、外国人が富士登山するのを手伝うスタッフになって一緒に登ったりとか。留学もしたいみたいで、アクティブです。家族のキャラが濃くて、俺だけ埋没してるかんじ(笑)」
親兄弟のアグレッシブさが迷惑だなと思ったこと、ありますか。
「いや、ないですね。逆にこっちもいろんな経験ができて、父親つながりでアメリカの高校生としゃべる経験もできたりとかあるし。ただ、父はある意味国に喧嘩売るようなことをしているわけで、俺と兄貴に対して父から『俺もお母さんも、いつ切られるかわからない、刺されるかわかんない。やってなくても、痴漢しただとか、万引きしたって言われて、捕まるかもしれないけど、それを覚悟のうちでやってるから、そのときはしょうがないからね』っていう話をされて。だったら、やんなきゃいいんじゃないのって思うんですけど、こんな親なんで、もうしょうがない(笑)。実際にお金とか、そういうことで損したことはないんですけど、友だちとかに『お前の家族何なんだよって』って言われたことはあります。あと、これは俺も承知のことなんですけれど、母親がそういうかんじでやってるぶん、弁当がコンビニ弁当になるときがあって、これは、ちょっと損かな、と(笑)」
「俺だけ埋没してるかんじ」と話す渡辺さん自身は、たしかに物静かな高校生だ。さて、渡辺さん、将来何屋になりたいですか。
(明日に続く)