つきまとう「立憲共産党」というイメージ
なお、蓮舫氏が都知事選に敗れて新東京26区での出馬を決めた際には、松原陣営は「返り討ちにする」と意気込んでいるという。
さまざまな思惑が絡み合う中で都知事選への出馬が決まった蓮舫氏だが、その決断によって選挙への注目度が高まったのは間違いない。
立憲中堅議員の1人は「蓮舫氏が小池氏に勝てるかどうかは分からないが、少なくとも7月7日までの政治の話題は都知事選で一色になる。自民不在の中で立憲の存在感が高まるのは国政にとっても追い風になるだろう」と語った。
一方で別の立憲ベテラン議員は「蓮舫氏の出馬が吉と出るか、凶と出るか。また、立憲共産党というイメージがついてしまうのではないか」と気をもむ。
人口移動が激しく浮動票が多い東京都では、野党支持の中でも保守的な立場を取る連合同盟系から得られる組織票よりも、市民運動の参加者や共産党支持者によるリベラル票のほうが稼ぎやすいという事情もあり、立憲都連は基本的に連合と距離を取って、共産と仲良くする傾向にある。
蓮舫氏は国政政党からの推薦は受けずに、無所属で出馬して幅広く支援を呼びかける予定だが、共産は既に「蓮舫さんを都政へ押しあげ」という応援ビラを作成しており、その距離の近さは選挙戦でも指摘されるだろう。
立憲・ベテラン議員が頭を抱える理由
もちろん、東京都における票の出方を分析した上での選挙戦略としては間違ってはいないのだが、一部の立憲議員が頭を抱えるのは、それが全国区で報道されることだ。
「もしかすると今秋にも総選挙があるかもしれないという中で、立憲と共産が全力で蓮舫氏を応援している様子が全国のテレビに映し出されるのは、立憲のイメージをさらにリベラルなものにさせてしまう。保守層が強い地盤で戦っている議員にとっては不利に働くのではないか」とベテラン議員は嘆く。
ただ、蓮舫氏というビッグネームの出馬は小池氏にも影響を与えているようだ。
小池氏はもともと5月29日に開かれた都議会定例会の所信表明演説で出馬表明をすると見られていたが、「都民が希望を持てる都政を展開する」とだけ述べて、知事選への対応については言及しなかった。