「小池vs.蓮舫」で都民が見極めるべきこと

ここまで都知事選における野党協力の「枠組み」のあり方について書いてきたが、今回はさらに注目したいことがもう一つある。「小池vs.蓮舫」の戦いになることで、両者の政策的な対立軸が明確になり、選挙戦が「目指す社会像の選択」に近づく可能性が出てきたことだ。

小池氏は政界入りした後、かつての小沢一郎氏や小泉純一郎氏など、いわゆる新自由主義、国民に「自己責任」を求める政治をうたう有力政治家の側近として頭角を現してきた、いわゆる改革保守系の政治家だ。2017年の「希望の党騒動」で小池氏は、自らが立ち上げた新党「希望の党」に、当時の野党第1党・民進党を吸収し、さらに同党内のリベラル勢力を「排除」して、事実上その政治生命を断つことをもくろんだ。

蓮舫氏が所属する立憲民主党は、この時小池氏によって「排除」された勢力が中心になって結党した政党だ。「新自由主義的な社会を終わらせ『支え合いの社会』を目指す」ことを掲げた立憲は、結党の経緯から言っても、希望の党の政治、すなわち「小池氏の政治」に対する明確な対立軸を持っている。

つまり小池氏と蓮舫氏は、候補者として並び立つだけで「目指す社会像」の選択肢になり得る、希有な存在なのだ。

「日本一の人気投票」から「まともな政策論争」へ

蓮舫氏は都知事選に向けた基本政策をまだ発表しておらず、小池氏に至っては出馬表明もしていない。しかし、両者が打ち出す基本政策は、単にキャッチーな「ワンフレーズもの」にとどまらず、それぞれの「目指す社会像」に沿ったものになるだろうし、そうでなければいけない。

仮に小池氏が「○○ゼロ」などといった「ワンフレーズ政策」ばかりを並べ立てたとしても、蓮舫氏は選挙戦を通じて、自らとの「目指す社会像の違い」を丁寧に見いだし、有権者に分かりやすく提示した上で選択を迫るべきだ。それが蓮舫氏出馬の意義であると思う。

「日本一の人気投票」ともやゆされてきた都知事選だが、今回「小池vs.蓮舫」の構図ができれば、筆者が国政でも望み続けてきた政治が実現するかもしれない。つまり「目指す社会像の対立軸」を明確にした上での、候補者同士のまっとうな政策論争である。

今回の都知事選が、政治がこうした方向にアップデートする大きな機会となることを、筆者は強く期待している。

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