若者の幸福度の低さは、中年のそれと同じ
そう考えるとも昨今の少子化の原因でもある若者の婚姻数の激減とは、「かつて幸福だった若者たちが幸福でなくなったから→若者幸福度の中年化」ではないでしょうか?
少なくとも若者の経済環境は悪化しています。バブル崩壊、就職氷河期、リーマンショック、デフレ不況、コロナ禍と90年代からの「失われた30年」において経済的に割りを食ったのは収入の少ない若者層です。
その間、税金や社会保険料はステルス値上げされており、可処分所得は減り続けています。おまけに、直近のインフレによってただでさえ減っている実質可処分所得もさらに圧迫されています。
内閣府「国民生活に関する世論調査」によれば、「日常生活での悩みや不安を抱える割合」は、今の50代が20代だった頃の1996年43.1%に対し、2022年は77.8%に達します。30年弱で不安が倍増しているわけです。
若者が結婚しなくなった本当の理由
不安は行動を抑制します。生活に困るほどの困窮ではないにせよ、若者自身が自分の未来に不安しか感じられなくなる今の空気感は、彼らの行動を委縮させ、何もしないことで若者は自らの達成感を感じられず、結果として結婚意欲も持てず、未婚化や非婚化をさらに進行させてはいないでしょうか。まさに「貧すれば鈍する」です。
元気なのは、そうした影響のない一部の大都会大企業勤めの若者だけで、多くの中間層の若者が結婚・出産という行動の放棄に向かっています。
少子化を憂うならば、まず若者の不安を増幅させている経済的不安を払拭し、せめて彼らが「不安なく行動できるお膳立て」を整えることが先なのです。「若者を幸福に」などというと途方のない話か宗教チックに感じられるかもしれませんが、そんなに難しいことでもありません。若者が行動できるようになればおのずと変化が起きます。
でないと、若者が若者のまま40代~50代未婚者のような不幸オーラに覆われ、結婚や出産は消滅してしまうでしょう。