最も不幸なのは「年収500万円以上の不本意未婚」
男性だけは若い20代のうちから「稼ぎ」という部分がその幸福度に大きな影響を及ぼしているようです。反対に、結婚後ろ向き層は年代問わず幸福度は高くもなく低くもなく中程度でほぼ一定です。
次に、不幸度を見ると、男女とも40代~50代において「結婚前向き」層の不幸度がもっとも高くなっています(図表3)。前述した通り40代~50代中年世代は年代別にはもっとも不幸度が高いのですが、結婚意欲別にみると「結婚したいのに未婚のままの40代~50代」がもっとも不幸度が高いということになります。
そして、興味深いことに、幸福度は年収に比例して幸福度も高まるのですが、結婚前向き層の不幸度は、むしろ年収500万円以上がもっとも不幸であるということです。
ここからわかるのは、確かに年収が高いほうが幸福度も高いのですが、結婚意欲とのクロス集計でみると「結婚したいのにできない不本意未婚」の場合、たとえ年収が500万円以上あっても、いや、逆になまじ年収が高いがゆえに、相手への選り好みが激しくなり、結果未婚のまま中年を迎えた時に不幸感が最大化していると解釈することもできます。
そもそも、たとえ年収が高くても、「不幸感満載」のオーラを出している相手と結婚しようと思う人は男女問わずいないのではないでしょうか。さらに、そこに「結婚さえすれば、俺は(私は)しあわせになれるはず」という強烈な念で婚活していると、相手も何かを貪り取られてしまうのではないかという恐怖すら覚えてしまうことでしょう。
「結婚で一発逆転」がそもそも間違っている
身も蓋もない言い方ですが、自らの不幸を結婚によって一発逆転しようとして、中年になって、マッチングアプリに手を出したり、結婚相談所に駆け込んだりしてもうまくいきません。結婚もできなければ幸福にもなれないでしょう。
結論をいえば、「結婚したからしあわせになれる」のではなく「しあわせな状態だからこそ結婚という道が見えるようになる」のです。先に実現させるのは「自分のしあわせ」のほうです。
前掲したグラフを再度確認していただきたいのですが、結婚前向き層の幸福度は男女とも20代がもっとも高く、30代以降急激に減少しています。これは、30代以降結婚したい未婚男女の幸福度が下がるのではなく、元々幸福度の高い層から結婚し、未婚から既婚へと属性が移動していくためです。それが、既婚男女の幸福度の高さへとつながっているのです。
結婚すれば幸福になるのではなく、未婚のうちから幸福な者同士が結婚しているということです。結婚とはそれによって幸福を得るものではなく、互いに幸福な男女が自分の幸福を分かち合いたいと願うカタチです。