日中の時間をうまく使っている人ほど、始業前の準備は入念だ。ウオーミングアップをきちんと行えば日中の仕事がはかどり、だらだら残業することもない。ビフォー9の一工夫でアフター7がリフレッシュに使えるので、翌朝もまた前向きに仕事に取り組める。そんな好循環が生まれているようだ。
その中の1人、三井物産の中村さんは始業時間の15分前に出社し、情報収集からスタートするのを日課にしている。
「排出権取引を扱う仕事なので、排出権関係の市況と為替相場、それと会社で利用している情報プロバイダから出てくる情報を毎朝チェックします。環境省と経済産業省の出すプレスリリースや大臣の会見内容にもときどき目を通しますね」
また、中村さんは、週に1度放映される米国の報道番組のポッドキャストをiPodにダウンロードしている。
「通勤や移動中のちょっとした時間に聞けて便利なんです。番組が面白いと思って始めたことですが、政策ウオッチにもなり、仕事にとても役立っています」
同じように隙間時間を有効活用して仕事に役立てているのが、森ビルの伴さんだ。「以前は残業も多かったのですが、今はなるべく減らすように心がけています」と言う。きっかけは他部署から営業部門に異動したこと。
「忙しいからと目の下にクマをつくってお客様と会うのもどうかと思いまして(笑)。今は外回りで生じる隙間時間にメールチェックをしたり、日報を書いたりして事務処理も早め早めに終わらせるようにしています。幸い当社では、どこの森ビルでも管理室というパソコンのある部屋があり、社員はそこを自由に使える。行く先々でフル活用しています」
会社でこのようなサポート体制がなかったとしても、スマートフォンなどのモバイル機器を上手に使えば、伴さんのような時間活用も難しくはない。さらに伴さんは客先を訪問するついでに、付近を歩いて回るようにしているという。
「情報収集の手段は、新聞などのメディアだけでなく、実際に街を歩いてどこに新しいビルができたか、どこが空いているのかを自分の目で確かめるのがいちばん」と伴さん。歩きながら気がついたことがあれば、携帯電話から自分のパソコンにメールを送って備忘録代わりにしているそうで、社内トップクラスの営業成績というのもうなずける。