委員や役員の押し付け合い、非生産的なベルマーク活動……。そんなブラックPTAのイメージを払拭するような活動がジワリ増えている。全国のPTAを取材してきたジャーナリストの大塚玲子さんは「『保護者や学校に何が必要か』を考え、それを実現するためにどんな場があればいいのか。それはPTAでもいいし、PTAでもなくてもいい。そんな順番で考えられる学校のPTAはやることを間違えにくい」という――。
PTAの会議でメモを取る人
写真=iStock.com/takasuu
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委員の押し付け合いで泣く人もでる

「PTAって、そもそも何ですか?」

長くPTAの取材を続けてきた筆者はよくこんな質問を受けるのですが、毎回どう答えたものか悩みます。何しろ、いろんなPTAがあるからです。

「よくあるPTA」の説明なら簡単です。学校行事のお手伝いや広報紙の作成、ベルマーク集め(学校への物品寄贈)などの活動をしており、加入は本人の意思にかかわらず全員必ず。委員や役員を決めるときは押し付け合いが起きやすく(なぜかほぼ母親限定)、ときには泣く人が出ることも……。ここ数十年、多くのPTAはこんな感じでした。

「そうじゃないPTA」の登場

でも、最近は「そうじゃないPTA」もジワリと増えています。入りたい人が入り、参加したい人が参加する。希望者がいない活動はやめにして、会員が「やりたい」と思ったことをやる。PTAという名称を変える例も出てきて、バラエティに富んできました。

これが当たり前だと思うのです。法律に縛られない、ただの任意団体であるPTAが、これまで全国一律、同じように活動してきたことのほうが、よほど不自然だったと感じます。

いっそもう、「PTAとは何か」を考えるのはやめて、「保護者や学校に何が必要か」を考えたほうがいいと思うのです。それを実現するために、どんな場があればいいのか――それはPTAでもいいし、PTAでもなくてもいい――そんな順番で考えたほうが、やることを間違えにくい気がします。

では、保護者や学校に必要なものとは何なのか? いろんなものが考えられますが、筆者が潜在的なニーズを感じてきたのが「保護者同士の交流の場」です。昭和や平成初期によく見られた「PTA学級懇談会」のように「毎月やることになっているから今月もやる」というものではなく、集まりたいから集まる、もっとラフで自由な交流の場です。

近頃、そんな交流の場をもつPTAをちらほら見かけるようになってきたので、いくつかご紹介させてください。