「私があんたたちのようにドライバー付きの車をもらったか?」

ミン代表は会見を通じて、自分が大企業に雇用された一介の労働者であることを徹底的にアピールした。記者会見という場にそぐわない服装で仕事に疲れた姿を演出し、暴露された会話内容に対しては「私は会社員です、月給をもらっている雇われ社長です。会社員が上司や職場が気に入らなかったら、愚痴を言ってもいいじゃないですか」と釈明した。

ほかにも、「あくまでも私を搾取しようとしたのであって、私に対する尊重があったわけではない」「内部告発した私のことが気に入らなくて、私のことがとても憎たらしくてハメようとしている」「この会社から抜け出すためにはどうすればいいですか?」等々、会社員としての鬱憤を吐き出した。

男性中心の企業文化に反感を持つ若い女性を代弁するような発言も続いた。

「クソオヤジども(ケジョシ)が私をつぶそうとあらゆる私的会話を卑劣に寄せ集めた」

「私があんたたちのようにドライバー付きの車でももらったか? お酒を飲むのか? ゴルフをするのか?」

「一生懸命仕事した罪しかない」

「女性が社会生活をするのがこんなに大変だなんて!」

「つぶしたいなら後ろから卑怯に小細工しないで真正面でかかってこいよ!」

数年前、韓国の若い女性の間では既成世代の男性たちを「ケジョシ」と呼ぶスラングが流行した。権威的で、自分の利益のためには他人に迷惑をかけることも厭わない、特に若い女性などの弱者層に無礼な40~50代の男性を卑下する言葉で、韓国社会の権力構図の最上層に位置する中年男性に対する若い女性たちの反感を象徴する。

ミン氏はすでに流行からずいぶんと遠くなっている「ケジョシ」という単語を使って、HYBEを「権力を持つ中年男性の集団」にし、自分は「迫害される女性」という構図を作り出したのだ。

K-POP産業全体の問題点にまで言及

さらにミン氏は、現在K-POP界で起きているさまざまな問題点を指摘することで、ファンダムの主軸を成す若年層の共感を引き出した。

近年のK-POP界ではマルチレーベルシステムが盛んだ。HYBEもこの手法を採用しており、ADORのほかにもBTSが所属するBIGHIT MUSIC、LE SSERAFIMが所属するSOURCE MUSICなど、複数のレコード会社(レーベル)が存在する。それぞれに独立してクリエイティブやビジネスを行うことが狙いだったはずだが、ミン氏はHYBEが各レーベルの自律性を認めず、固有の創作物の振り付けとコンセプトまでむやみにコピーして似たようなグループを量産していると批判した。

「レーベルごとに個性が違ってこそマルチレーベルなのに……私たち(NewJeans)の製作フォーミュラ(成功の方程式)そのものを模倣した。だったら、なんでマルチレーベルにしたの? そのままそっくりコピーすればいいじゃない? こうしたやり方は長期的に業界を駄目にする」