「貧乏研究室」が大量発生した失敗が思い出される
基金の原資は税金だ。責任の所在を明らかにし、無駄な使い方を防止することが必要だ。支援する理由、支援先の下請け企業、共同研究先なども含めて、どこにどれだけお金が流れているか、技術開発がどこまで進み、どんな成果を上げているのか、などについて、国民にもわかるようにデータベースを作って公開するなど、透明化をはかることが必要ではないか。
2000年代初頭の科学技術政策で、研究予算の「選択と集中」を推進した結果、予算が集まりすぎて使いきれない研究室が生まれた。いろいろな役所や政府関連機関が、縦割りのままバラバラに、同じ研究者に重複して研究費をつけたことが原因だった。
一方で、予算に事欠く研究者が多数生まれ、日本の研究力低下につながったと見られている。
同じことを宇宙基金でも引き起こさないためのシステム作りが求められる。
政府基金への批判渦巻く中でのスタートを、内閣府も気にしているのだろうか。「国民の理解は不可欠」と強調し始めた。今まであまり興味を示してこなかっただけに、大きな変化だ。
内閣府は「(宇宙予算が)3000億円の時代から、8000億円時代にギアチェンジした。今まで以上に情報発信をすべき」と言い、宇宙開発を担う産業界などに「宇宙開発の成果の意義」を発信するよう求め出した。
発信だけにとどまらず、宇宙戦略基金を大きな「ブラックボックス」にしないための、透明化の工夫も求められる。