「4320万円の赤字」になるケース

ケース1では、年金収入13万円に対して、出費は25万円ですから、月12万円の赤字となります。年間の赤字額は144万円です。

平均寿命(男性81.05歳、女性87.09歳。厚生労働省「簡易生命表(令和4年)」)通りに生きるとすれば、男性の場合はあと21年間人生が続きますから、3024万円足りないことになります。老後を30年とすれば、4320万円の不足です。

ケース2では、月3万円の赤字となり、年間の赤字額は36万円。寿命を男性に合わせると残り21年間で756万円、女性に合わせると27年間で972万円足りないことになります。30年間なら、1080万円です。

「老後2000万円問題」では「老後の30年間で約2000万円が不足する」とされましたが、この数字はけっして「不確かなもの」ではないことがわかるでしょう。というより、けっこう当たっています。

ケース3では月5万円、年間では60万円の黒字となります。これなら1年に1回、夫婦で国内旅行に出かけることができそうです。

ただ高齢になると、若い頃とは異なり、いつ何時、医療費や介護費が必要になるか、わかりません。そうなれば、一気に赤字になるかもしれません。

やはり、60歳からの人生に向けて、ある程度は蓄えておく必要がありそうです。

支出をリストラして赤字を少なくする

ケース3のように、夫婦共働きで双方が厚生年金加入でないと、世帯の収支は赤字基調であることが判明しました。ケース3でも、予期せぬ出費があれば赤字に転落します。

ならば、収支をマネジメントしていく必要がある。

その方法について、具体的に見ていきましょう。

(1)赤字をなくす、小さくする

赤字ならば、いかに赤字をなくすかを考えねばなりません。これは会社の経営でも変わりません。支出で不要なもの、優先順位の低いものからリストラしていきましょう。

たとえば車はどうでしょう。

車は、ガソリン代(電気代)はもちろん、駐車場代、車検、税金など維持費がかさみます。その維持費に見合う効用があればいいですが、実際に使用しているのは週1~2回、それも近場だったりしませんか。

ならば、思い切って手放して、公共交通機関とタクシーやレンタカーに切り替えてみませんか。タクシーなど贅沢と思われるかもしれませんが、車の維持費と比べると、意外にリーズナブルだったりします。

車だけではありません。別荘、ペットなど維持費がかかるものは再考しましょう。

もう現役ではないのですから、意識も変えていかなければなりません。