企業内「三田会」会員 東京海上1700人、日立1500人、三井物産1000人
慶應の結束力の強さが一番発揮されるのは企業においてである。「慶應にはかなわない」とぼやくのは電機メーカーに勤める早稲田大学出身のベテラン社員だ。「出世レースでも多くの場面で慶應に先を越されてきた」と振り返る。その原動力となっているのは慶應の同窓組織「三田会」である。一流企業の多くに根を張り巡らし、その威力を存分に発揮している。「早稲田にも企業別の稲門会(同窓会組織)がありますが、その人数も影響力も三田会とは比べ物にならない」という。
最も会員が多い企業内三田会は東京海上日動火災保険で、その人数は1700人。続く日立製作所も1500人もいて、企業における一大勢力になっている。1000人の会員がいる三井物産で三田会役員を務めたOBは「人数は力」と強調する。
「必然的に上司にも塾員が多くなり、それが有利に働くのは事実。露骨な登用はないにしても、三田会の会合で顔を合わせる機会も多く、覚えがいいという面はある」(同)
前出の早稲田出身のメーカー社員は、「慶應の人たちは彼らだけで飲みにいって親睦を深めている。よほど馬が合うのでしょうが、社会人になってもずっと母校のコネに頼って、いつまでもつるんでいる印象」と冷ややかに話す。
「そのメリットを知っているだけに、自分の子どもも慶應に入れたいという気持ちになるんです。子どもにも三田会ネットワークの恩恵にあずからせてやりたいと……」と話す三井物産OBは息子を幼稚舎から慶應に入れた。こうして塾員たちの母校愛は親から子へ引き継がれ増幅していくのだろう。