「嫌な気持ちにならないこと」を最優先にすべきである

人事評価の目的がモチベーションや人材育成にあるのであれば、例えば、標準の評価をAとして、よりできる人にはSといった評価表現することもあり得る。昔のリクルートでは、標準評価が5またはAで、「標準です」と言われてもあまり違和感が無かったが、企業によっては標準評価がCと表現されることもあるようだ。標準でAと言われるのとCと言われるのではだいぶ受け取り方が違い、モチベーションに影響を与えることもある。

また、昔のリクルートでは標準評価が5だったが、誰かに6をつけると同じだけ4をつける、つまり厳密に平均を5にする必要はなかった。部署によって多少異なるが、平均は5.2とか5.5であることも多く、つまり「あなたは標準の5です」といわれても、実質的には平均以下の評価となっていることもあった。これは合理的な制度とは言えないかもしれないが、人の気持ちをよく考えたルールだったと今でも思う。

人事評価には、分配や昇任・昇格、人材育成などさまざまな目的があるが、一番大事にすべきなのは、評価する上司、評価される部下、という一人一人の人間が、嫌な気持ちにならないことだろう。

【関連記事】
「ほめるところが一つもない社員」はどうすればいいか…敏腕人事コンサルが教える"すごいメソッド"
能力不足なのに自己評価は高い「ローパフォーマー社員」をどう変えるか…パワハラにならない「叱り方」のコツ
現場は「人手不足」を主張しても、会社は「上司のスキル不足」と却下…管理職が「罰ゲーム化」する負のループ
「入社直後は優秀だったのに…」期待のホープをパッとしない"指示待ち社員"にしてしまう"優秀な上司"の罪
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ