大バズした主題歌とアニメの関係
この流行は海外では1カ月ほどで収束していったが、日本では3カ月ずっと続いていった。
Spotifyランキングでみると日本だけは2月に入ってもずっと1位を席巻。日本の場合はTikTokよりも息の長いYouTubeで「踊ってみた動画」が生産されつづけた結果だろうか。
Xのつぶやき件数も3月にノンクレジットバージョンのBBBB動画が公式で掲載されたあとも続いた。
ではその主題歌の思いがけない大ヒットに対し、肝心のアニメ『マッシュル』はどうだったのだろうか。
今回の比較が面白いのは、『マッシュル』第1期は昨年23年4~6月に放送されたが、同時期に『推しの子』が放送されていたことだ。その主題歌YOASOBIの「アイドル」が大ブーム渦中で、第1期の配信を終えていた(『マッシュル』第1期の主題歌は、岡崎体育「Knock Out」)。
現在のBBBBブームのファンの中で、1年前に本作を見ていた層はかなり少ないのではないだろうか。「第2期」として『マッシュル』が改めて注目をされた際に、どのくらいMALでのファン数が増減しているかは、人気楽曲のアニメ本編への影響をみるまたとない好事例となるだろう。
「楽曲人気=アニメ人気」とはならない
実は結論からいうと、想像とは逆に「アニメファンは増えていない」という結果になった。2024年1~3月で放送された第2期『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』のMALのMembersは、アニメ放送直前で10.6万人。第1期とほぼ同じスタートを切り、放送期間中に約16万人増やして26.8万人で終了。
同期間中のアニメ61作品の中では『俺だけレベルアップな件』に続く第2位のMembersスコアではあったが、BBBBブームが肩透かしかのように「(38万人の)第1期に及ばない結果」となった。
2019年4~6月の『鬼滅の刃』の第1期はそれなりの衝撃があったとはいえ、初動10万人からはじまり最終着地は40万人超。50万人超えの『ワンパンマン』に続く「次点」アニメに過ぎなかった。
それが2020年のコロナ禍の空前絶後の鬼滅ブームを経て『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』となると放送終了後70万人前後、過去トップクラスの人気アニメに変貌していた(『推しの子』がそこに及ばず次点だった点も連載第1回で分析した)。