日韓ラノベ系タイトル対決
2024年1~3月期は(BBBBブームに引っ張られた)『マッシュル』と『俺レべ』のインパクトが強すぎたことでほかのアニメが相対的に存在感を発揮しにくかったかもしれない。
だが『俺レべ』にひきずられるように、同じピッコマ出身の『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』は初期のMembersは2万だったが、配信終了時には6倍の12万人となり、Webtoonのアニメ化は十分に通用することが証明された。
以前から根強い人気がある日本ラノベのアニメ化、3期目となる『ようこそ実力主義の教室へ』は33万人でマッシュル以上の成果を出し、初アニメ化となった『治癒魔法の間違った使い方』も初期3万から5倍に増えて15万で着地した。
これをみると、日韓ラノベ系タイトル対決は韓国に軍配こそあがったが、ファンタジー世界をメタ視した異世界系・悪役令嬢系は全般的にどこも成功したシーズンであったといえるだろう。
日本のアニメが持つ幅の広さ
「ファンタジー×飯」という近年のトレンドで、モンスターを調理して食べまくる異色のグルメ作品『ダンジョン飯』がようやくのアニメ化で、ちゃんと海外にも通用する“概念”となった。個人的にイチオシだったこともあり大変うれしい。
『魔都精兵のスレイブ』や『道産子ギャルはなまらめんこい』などジャンプ+でカルト的人気を誇っていた作品群もトップ10入りをしている。
『ゆびさきと恋々』など『聲の形』を彷彿とさせる聴覚障がい者の“尊い”恋愛を描いた社会テーマをもったアニメも6位で19万人と十分なヒット事例であった。
ダークホースとして注目すべきは17位『Ninja Kamui(忍者カムイ)』でアニメ配信前に300人しかMembersがいなかったマイナー作品だったが、MAPPA出身の韓国人アニメーターが作った新興アニメ会社が北米テイストでつくったもので、終了後には11万人を超える数にまでオーガニックに積みあがっていった。成長率はなんと400倍だ。
こうした(大ヒットではないにしても)幅の広いアニメの展開例をつみあげることが、最終的には日本のアニメ産業を「日本に閉じる」ことなく、より海外の大舞台に広げていくためのエコシステムを豊かにしていくものだと思う。
その意味では世界ヒット楽曲を作った『マッシュル』と日韓共同作で大ヒットとなった『俺レベ』に改めて賛辞を送りたい。