有効求人倍率は0.6倍、「40代でクビ」も普通…

現地国籍を取得して海外で活躍するキム氏が尊敬を集めるのは、裏返せば、韓国の将来に希望が持てない韓国人が増えている、と言うことでもある。韓国の有効求人倍率は0.6倍程度と、かなり低水準で推移している。人手不足の日本とは対照的な状況だ。

韓国では大企業と中小企業との賃金格差が大きく、大企業に応募が集中するという問題もある。運よく大企業に就職できても、その後の競争は激しく、40代でクビを切られることも普通にある。

公園のベンチに座って頭を抱えているスーツ姿の男性
写真=iStock.com/metamorworks
40代でクビを切られることも普通にある(※写真はイメージです)

韓国社会の競争の苛烈さを見れば、韓国人が「ヘル朝鮮」と自虐するのも当然と頷ける。

インドネシアに活路を求める

そんな競争社会を離れて、今後も経済成長が続くと予想されるインドネシアに活路を求める韓国人が増えているという。

インドネシアでは特に2010年代以降、韓国の存在感が大きくなっている。KPOPや韓国ドラマはすっかりインドネシア社会に浸透した。

インドネシアに30年以上住む日本人によると「かつては『おはよう』と声をかけられたものだが、近頃は『アニョハセヨ』と声をかけてくる」と驚きを隠さない。

インドネシア語を学習する韓国人も増えている。

インドネシアの最難関大学として知られる国立インドネシア大学では外国人向けのインドネシア語習得コースを設置しているが、複数の関係者によると、その7~8割は韓国人だという。

同コースを修了した日系大手企業駐在員によると、全部で150人ほどの学生がいる中、「韓国の外語大学の学生が大量に留学しており韓国語も頻繁に飛び交うため、もはや彼らの大学の分校のような雰囲気だ」という。

かつてはこの語学コースを履修するのは日本人が多かったが、「リーマンショック以降、日本の駐在員がごっそり減り、それを埋め合わせる形で韓国人の留学生やビジネスパーソンが増えた」(別の企業の古参駐在員)という。