「買い物弱者」も拡大する…

買い物難民とは、高齢化で移動困難な人が増えるという「消費者側の変化」と、国内マーケットが縮小し小売店舗の経営が困難になるという「売り手側の変化」という2つの構造的課題が重なって起きている。

要因は、人口減少に他ならない。

社人研の将来人口推計は高齢者数のピークを2043年の3953万人としており、今後ますます増えることだろう。4000万人弱というのは、ヨーロッパの大半の国々の人口より多い。

同時にこれは、単に高齢者の問題として片づけてはならないということでもある。

人口減少によって引き起こされている以上、いずれ若い世代にとっても深刻な状況が広がる。人口減少によって国内マーケットが縮小し、各地で店舗が減っていくためだ。今後は、若い世代においても遠方まで買いに行かなければならない「買い物弱者」が拡大し得るだろう。

大型商業施設であれ、個人商店であれ事業を継続するには、「最低限必要な消費者数」というボーダーラインが存在するからである。これを大きく下回ると倒産、廃業、撤退に追い込まれる。すでに各地で小売業の淘汰が始まっている。人口減少が進み、縮小するパイの奪い合いが激化しているためだ。

勝ち残ったとしてもボーダーラインの問題は残る。絶え間なく店舗の再編や見直しを余儀なくされていくことになる。

閉店した店
写真=iStock.com/liebre
※写真はイメージです

「国民の飢餓」の予兆

買い物難民の増加を受けて、多くの地方自治体では対策を講じている。食料品の移動販売への補助や、スーパーマーケットやホームセンターなどを回る無料の送迎バスを走らせる事業を行っているところもあるが、人手不足で運転手の確保は難しく、利用者が少なくて採算が取れずに事業が打ち切られることも少なくない。

すべての食材をコストが高いネット通販で購入するのも現実的ではない。そもそも、これらの取り組みは内需の縮小で店舗経営が難しくなるという根源的な課題を解決しうるものではなく、限界がある。

政府は、世界人口の爆発的な増加に伴う食料不足に備えて食料安全保障の強化を急いでいるが、食料をどう安定確保しようとも国民にスムーズに届かないのでは意味をなさない。

人口減少社会とはあらゆるモノやサービスが届きづらくなる社会だ。

そうでなくとも日本の食料自給率は低く、基幹的農業従事者も高齢化で急速に先細る見通しとなっている。高齢者の4人に1人が買い物難民という現実は、将来的な「国民の飢餓」の予兆と言えなくもないのである。

これは超高齢社会である日本のリアルだ。目を背けることなく、人口が減っても機能する社会への作り替えが急がれる。

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