自分が一番気分が良くなる言葉は何か

良いひとり言の特徴は、ポジティブであるということです。

「きっとできるはず」、「うまくいくさ」と自分の可能性を信じる言葉や、「私は正しい」、「我ながらあっぱれ!」といった自己を肯定する言葉がそれに当たります。

誰でも、右のような肯定的な言葉を投げかけられたら、気分は良くなるでしょう。それは自分自身に投げかけるひとり言でも、まったく同じです。

晴れた日に清々しい表情をした人のイメージ
写真=iStock.com/maruco
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気分が良くなれば、脳は活発に動き出し、良いアウトプットができるようになります。

自分が一番気分が良くなる言葉が何かを調べてみて下さい。

人それぞれによって、脳が働きやすい言葉は違いますから、何度か口にして試してみるといいでしょう。

ちなみに私は、「やれるんじゃない?」「いけるんじゃない?」というような自分を激励したり、鼓舞する言葉をよく使います。

なぜなら、私が身を置く研究の世界は、理論が発見され、認められれば、他者から賞賛を受けることができますが、その前の段階では、賞賛どころか誰も見向きもしてくれないからです。

もちろん、賞賛がほしくて研究をしているわけではありませんが、自分の研究が価値あるもので、自分のやり方が間違っていないと信じるためにも、自分で自分を賞賛したり、激励するようなひとり言をつぶやいて、自分を鼓舞するわけです。

前述した会社の経営者と同じく、孤独な世界なので、自分で自分を支えるしかないのです。

私自身も、自分のひとり言によって支えられてきたと思っています。

ネガティブなひとり言は脳の自殺行為だ

良いひとり言がポジティブな言葉であるのに対して、悪いひとり言はその逆のネガティブな言葉です。ポジティブな言葉は脳を活性化させますが、ネガティブな言葉は脳の働きを抑え、フリーズさせてしまいます。

「ダメだ」「できないよ」といった自分を否定するような言葉や、「ちくしょう!」「ばかやろう!」という怒りの言葉、「もう嫌だなぁ……」といった嫌悪の言葉をつぶやいていませんか?

残念ながら、このような言葉を発すると、脳の働きが一気に悪くなります。神経細胞も活性化することなく、脳はフリーズ状態になるのです。

うつ病の患者の脳がまさにこうした状態になっています。「視覚系」、「聴覚系」といった情報入力に関係する脳番地が落ち込むことで、「思考系」や「理解系」などワーキングメモリーに関係する脳番地が慢性的にフリーズし、「記憶系」や「感情系」の脳番地が動かなくなるのです。

そうなると、ますます気分が落ち込んで、さらにネガティブな言葉を発してしまいます。この悪循環によって、うつ状態から抜け出すことが難しくなってしまうのです。ネガティブなひとり言は、自分で自分の脳を動かなくしてしまうわけですから、脳の自殺行為と言っても過言ではないでしょう。

ただし、人間ですから、ときにはマイナス思考になったり、落ち込んだりしてネガティブワードが口から出てしまいます。

そんなときは、「なぜ今、こんなネガティブな言葉を言ってしまったのか?」と、左脳を働かせて、その原因を推測してみることをお勧めします。

「どうしてこんな言葉が出たのかな?」→「きっと昨晩の睡眠不足で疲れているからだな」→「よし、今日はしっかり睡眠をとろう」

原因を考え、対策を決めることで、脳はフリーズすることなく、むしろ停止しかけたのが再び活性化することになります。