ネイティブの発音を学び直すことからやり直そう

このように日本語の中で日常的に使われている“英語に似た言葉”に、私たちの発音は影響を受けています。

子どものころ、母とマックに行って、母が「Crush」(ファンタオレンジと似たソーダ)を注文しようと、「クラッシュ」と言ったところ、店員さんに理解してもらえなかったことがありました。ネイティブの発音を正しくカタカナ化すると、「クアッシュ」になります。しかし、和製英語で「クラッシュする」などと使われている発音が母の記憶にあって、そのような発音になってしまったのでしょう。

外来語が訛ってしまうのは日本だけの問題ではありません。もともと日本語で英語ネイティブが発音すると全く違うものに変わってしまっている単語もあります。たとえば、「カラオケ」は、ネイティブは「キャーウィオウキ」といい、「酒」も「サーキー」と言い、「空手」は「クアーリ」と言います。これは英語で「schwa」(シュワ)と呼ばれる「あいまい母音」があるからです。「あいまい母音」は口を完全にリラックスさせたまま軽く開け、喉のあたりから一瞬だけ弱く出す音です。

甲斐ナオミ『カタカナ英会話』(‎Gakken)
甲斐ナオミ『カタカナ英会話』(‎Gakken)

たとえば、「a」は軽い「ウ」になります。「about」は、日本では「アバウト」と言いますが、ネイティブは「ウバウッ」と発音します。「i」ですと、「April」(4月)という単語がありますが、日本語訛りの発音ですと、「エイプリル」と言いますね。これをネイティブは「エイプォー」と発音します。「il」は軽い「オ」になるという具合です。

このように発音の仕方に違いがあるので、学校で習った英語や外来語、和製英語は一旦すべて忘れましょう。そしてネイティブの発音を学び直すのが近道です。拙著『カタカナ英会話』では、ネイティブの耳で聞いた正しい発音でカタカナ化していますので、ぜひ、参考にしてみてください。

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