慢性的な炎症があると、大人が泣くほど痛い
EATを行ったとき、慢性上咽頭炎がある人と、そうでない人とでは、実は反応がまったく違います。
上咽頭は常に体外からの異物の侵入にさらされているため、健康な人でもある程度の炎症があるものです。けれど、それが病的な炎症でない限り、EATを行ってもさほどの痛みはありません。出血もないか、あっても軽度です。
ところが、上咽頭に病的な炎症が起こっていると、綿棒をこすりつけることで激しい痛みを感じるのです。大の大人でも耐えきれずに涙を流すようなことが珍しくないほどです。
また、炎症が激しいほど大量の出血が起こり、挿入した綿棒に血が付着します。白い塊状の膿(死んだ免疫細胞や細菌、ウイルスなどがたまったもの)が取れることもあります。
こうした痛みや出血の程度が、慢性上咽頭炎を見分ける重要なポイントの一つになります。EATは慢性上咽頭炎の「治療」になると同時に、「診断」にもなるのです。
さまざまな不調や症状が改善するきっかけに
「とても痛い、出血する」と聞いて、怖くなってしまう人もいるかもしれませんが、EATは高い治療効果を発揮します。慢性上咽頭炎が治っていくにつれ、EATを行っても痛まないようになっていきます。そして、さまざまな不調や症状も改善していきます。
もし、さきほど紹介したチェックリストで慢性上咽頭炎が疑われる場合は、EATを試す価値があると言えます。
ちなみに従来、この治療は「Bスポット療法」と呼ばれていました。「B」は鼻咽腔の頭文字を取ったもので、上咽頭治療のパイオニアである故・堀口申作先生(東京医科歯科大学名誉教授)の著書『原因不明の病気が治るDr堀口の「Bスポット療法」』(光文社)の中で、読者の関心を高めるために出版社が命名したのだそうです。
私も以前は「Bスポット療法」と呼んでいましたが、近年では慢性上咽頭炎の治療について海外からの問い合わせも増えてきたため、海外の人にもわかりやすいように、英語訳の略称「EAT」を用いることにしたのです。