「言い方・伝え方」はコミュニケーションの本質ではない

たしかに、「同じ言い方・伝え方」をしているのに、Aさんは感じよく映って、Bさんは感じが悪く映る、ということが頻繁にあります。「言い方・伝え方」では説明できないこういった現象が起きている以上、「言い方・伝え方」はコミュニケーションの本質ではない、ということなのでしょう。

では、何がコミュニケーションの本質なのか。おそらくこのコピーライターの方は、これまで膨大な「コミュニケーション」を見てきて、すべての成功している(あるいは失敗している)コミュニケーションの共通点を説明しようとすると、この「欲望のベクトル」というものが関係している、ということに行き着いたのだと思います。

何か一つのものだけ、あるいは表面的な見やすい所だけを見て「安易な結論」を言うのではなく、物事の背景に隠れた「本質」を見抜く。

こういった、思わず周りが「ハッ」としてしまうような「鋭い洞察」を持ち合わせているのが、「解像度が高い人」です。

ラップトップを手に持って説明するビジネスパーソン
写真=iStock.com/kokouu
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99%の人にも見えるよう「物事をわかりやすく伝えられる」

「解像度が高い人」の備える特徴3として、「物事をわかりやすく伝えられる」という要素があります。

これまでお話ししてきたことは、特徴1も特徴2も「99%の人には見えない」という事例でしたが、ただ本人に見えているだけでは、周囲から「解像度が高い」とは見なされません。

なぜなら、「その人に見えている」という事実が、第三者には説得力を持たないからです。特徴1と特徴2は、「他の多くの人には見えないものが見えている」からこそ価値を持つわけですが、その「他の多くの人に見えないもの」を「他の多くの人」にもわかるようにしなければ、単に「意味のわからないことを言っている人」になってしまいます。

その点、「解像度が高い人」は、「自分に見えている(かつ99%の人には見えない)もの」を、あたかも見えているかのように「わかりやすく伝えることができる」能力があります。

お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんは「解像度が高い人」の代表です。西野さんは、笑い芸人の他に、俳優・絵本作家・小説家・作詞家・企業経営者などマルチに活躍しています。