上司の無茶な要求、取引先から突然のダメ出し。不測の事態になると動揺してしまい、普段の力を出せない人はどうすれば心が安定するのか。修羅場をくぐった元刑事が動じない技術を語る。「プレジデント」(2024年3月1日号)の特集より、記事の一部をお届けします――。
「刑事メンタル」はポジティブなフィルターしか持たない
私は千葉県警に27年勤め、そのうち20年を刑事として過ごしました。殺人や傷害などの凶悪犯、粗暴犯から、組織犯罪まで、多種多様な事件を担当しました。特に長かったのは、詐欺や横領といった知能犯を相手にする刑事部捜査第二課です。
殺人犯や薬物中毒者、暴力団員などと日常的に接するのが、刑事です。取り調べでは、こうした人たちに臆することなく向き合い、口を割らせなければいけません。
事件現場ではご遺体に接することもありますし、身内を亡くしたばかりの家族や動揺している被害者から、辛いお話を聞き出す必要もあります。精神的に強くなければ仕事にならないので、ちょっとやそっとでは動じない「刑事メンタル」を身につける必要があるのです。「刑事メンタル」は、普通の人たちのビジネスシーンや家庭生活にも役立ちます。パワハラ上司との付き合いや威圧的なクレーマーへの対応など、「自分に鋼のようなメンタルがあればどれほど楽だろうか……」と感じる場面が、日々たくさんあるからです。
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