映像よりも原作の挿絵のほうが大事

――としまえん跡地にできた「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」や、USJ内の「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」はどう思っていますか?

【ニシダ】実は僕は行ってないんですよ。というのも、施設を楽しんでいる人たちにいろいろ言いたくなっちゃうんですよね。

「このシーンのことわかってる?」とか「俺よりハリーのこと知らないのになんで楽しんでるの?」とか。

ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターのホグワーツ城
写真=iStock.com/Filmcameraaddict
※写真はイメージです

僕にとって映画は原作の世界観を補完してくれるものです。なので、そこまで映画が映し出した世界観を見たいわけでもないんです。映像よりも原作の挿絵のほうが大事だし、それで完結しているし……。

でも、僕みたいな厄介な古参ファンのせいでコンテンツの拡がりが閉じるんですよね。自覚しているのに、思うことは止めらない。だから、行かないようにしています。

原作に忠実なドラマに対する不安

――原作ファンとして、『ファンタスティック・ビースト』をどう見ていますか?

【ニシダ】ハリー・ポッターの世界の70年前を舞台に描かれたスピンオフ作品です。本編シリーズではあまり描かれなかったダンブルドアとグリンデルバルドの関係性を描いた映画で、作品としてはもちろん面白い。『ハリー・ポッター』の原作者のJ・K・ローリングさんも脚本に入っていますからね。

ヴォルデモートみたいなわかりやすい巨悪がいるわけではないので、本編よりちょっと難解かもしれません。ただそこも噛み応えがあると思ってほしいですね。

まぁ小説が原作としてあるわけじゃないので、ハリー・ポッターシリーズとしては邪道として観ているファンもいるかとは思いますが。

「良くないこととはわかっていても、映画ファンにはモヤモヤするんですよね」
撮影=プレジデントオンライン編集部
「良くないこととはわかっていても、映画ファンにはモヤモヤするんですよね」

――最近では、ハリー・ポッター映画版のキャストを一新したドラマを制作するというニュースがあります。

【ニシダ】先月末(1月22日)に、脚本家の決定に向けて動き出したというニュースがありましたね。

僕はちょっと不安ですね。映画よりも原作を忠実に描くことを謳っていて、原作小説1つを1シーズンとして描くとされています。こうなると原作ファンとしてはより粗探しを始めてしまう気がします。「はい、ここ描かれていません〜!」みたいな。また、映画ファンからしても映画との違和感を指摘されてしまう恐れはありますよね。

完璧に細部まで描くとすると、たとえば原作にある「薬草学」だけで一話が終わる、つまらない回も出てきてしまう。でも、それを面白くしようと改変すると「ほら、やっぱりちゃんと描かれていない!」となっちゃう負のループが生まれる。