膀胱は緊張と弛緩を使い分けている
「約21秒」で尿が出切らず、尿がチョロチョロと出る。そんな現象が起こりはじめたら、「おしっこ年齢」が高齢になりつつあるサインです。これは、単に「おしっこが出にくくなって困るな」という話ではありません。
「おしっこ年齢」は、尿にかかわる膀胱や腎臓をはじめ、全身の健康状態を映し出す鏡。尿から健康を考えていくことで、「元気で長生き」が叶う確率も格段に高まるのです。
自律神経には、「緊張時に優位になる交感神経」と、「リラックス時に優位になる副交感神経」があるというのは、すでにご存じの方も多いことでしょう。排尿においても、これらの神経が働いています。尿を溜める際に膀胱に作用しているのは、交感神経です。交感神経が膀胱に作用している間は、膀胱本体の筋肉(膀胱平滑筋)はリラックスしており、なおかつ膀胱の出口の筋肉(内尿道括約筋)はギュッと締まっています。
「交感神経は緊張を司る」というと、筋肉は全般的に収縮するイメージがありそうですが、膀胱本体は弛緩しつつ、膀胱の出口は収縮しているのです。だから膀胱に尿を十分に溜めながらも、尿道から尿が漏れることはありません。
排尿を我慢しているときになにが起きているのか
ちなみに、尿を我慢するときに、わたしたちが意識的に力を入れるのは「外尿道括約筋」という筋肉です。これは膀胱の出口にある内尿道括約筋のさらに下にあり、自律神経には支配されていません。
膀胱に尿が溜まってくると、膀胱の知覚神経から脳へと「もうすぐ容量いっぱいになりそうです」というメッセージが送られます。すると脳から膀胱へ「では排尿しなさい」という指令が下り、膀胱に作用する自律神経が交感神経から副交感神経へと切り替わります。
そして尿が溜まるときとは逆に、膀胱本体の筋肉は緊張し、膀胱の出口の筋肉は緩みます。こうして膀胱から尿道へと尿が押し出され、排尿されるというわけです。このように、一部の筋肉は収縮しながら、同時に一部の筋肉は弛緩しているというのが、出し切った後のスッキリ感につながっているといえるでしょう。