「暗記テスト」だけでは思考力は身に付かない

授業やテストも変えていきたいと思っています。

日本の学校の授業では、先生はひたすら黒板に向かって文字を書いて教科を教えていますが、もっと面白い授業の仕方があると思います。例えば、パワーポイントでのまとめや画像、アプリや道具を活用した能動的授業を促進する必要があります。

また、試験の内容も暗記が中心で、本当に重要である考える力や表現する力はほとんど問われていません。教育の世界では、他の業界、社会や分野から学ぶという姿勢が欠けていると感じています。マネジメント力の育成も不十分です。日本の学校教育の世界に改善の余地がいくらでもあると感じました。

私は将来的に、学校の試験を3種類に分けて実施すべきと考えています。

一つ目はオープンノート試験です。自分のノートを見ながら、より良い回答を考えていく。そこでは暗記力は問われませんし、点数もつけません。二つ目はグループテストです。4人でグループを作り、問題解決に取り組むのですが、一つの正解にこだわらず、とにかくさまざまな考え方や回答をグループで考え出すこが大事なのです。

三つ目が暗記型のテストです。大学受験に向けては校外模試を活用することで、教員の作問・採点の負荷もかなり減るはずです。教員の負荷が減ると、改善を考える、導入する余裕が生まれます。

導き出した答えは本当に現実社会で実現可能なのか

さらに、生徒に関しては次の3つの能力を育成すべきと思っています。一つ目は、生徒たちが自己診断して自分のゴールを設定する能力の育成です。二つ目は、人格形成も含めて、問題解決力、表現力、パブリックスピーキング力を習得させ、かつ、自分の周囲を観察して適切に対応できる能力の育成です。三つ目は、自分の専門分野以外でも一定レベルの専門知識を獲得することです。

他にも現在の教育に足りないものはたくさんあると思います。例えば探求学習ですが、現状では、提示された問題に対して単純に「こうすればいい」という回答を作って終わりです。その対応策や解決策は現実の社会で本当に実行可能なのか、難しければどうすればできるようになるのか、ビジネスチャンスはあるのかなどの検討に発展しません。

現実の行政システム、会社の経営システムがどうなっているか、実行に必要な制度やITシステムは本当に作れるのかなど、実践的な知識が欠けているのです。そのような点を少しでも多く学ぶ必要性を痛感しています。