16~24歳の失業率が46.5%に達したという推計も
中国では、経済環境の悪化を警戒する個人や企業が増えているという。近年、債務残高の増加に伴い、景気減速が鮮明化したことがそれを示唆する。
2023年10月~12月期、中国のGDP成長率は前期比1.0%のプラスだった。7月~9月期の実績(1.5%)を下回った。基調として経済成長率は低下傾向だ。通年の成長率は名目ベースで4.6%、実質ベース(5.2%)を下回った。12月の消費者物価指数がマイナスに落ち込むなど、デフレ圧力も高まった。
主な需要項目を確認すると、2023年の個人消費(社会消費品小売総額)は前年比7.2%増加した。飲食店が20.4%増となるなど、かなりの部分が“ゼロコロナ政策”終了の反動によってもたらされたと考えられる。
ただ、不動産市況の悪化で個人消費など、内需の自律的な回復は難しくなっているとみられる。雇用状況の悪化は見逃せない。特に、若年層を中心に雇用・所得環境の厳しさは高まった。中国国内では一時、16~24歳の失業率が46.5%に達したとの推計も出た。消費を減らして、債務の返済を優先しようとする家計が増加するのは無理もない。
中古住宅価格も70全都市で下落している
昨年、民間企業の設備投資は前年から0.4%減少した。減少は、統計開始以来ではじめてと報じられた。EV(電気自動車)分野ではBYDなどが投資を増やしたが、パソコンやデジタル家電などの需要減少が大きかった。不動産バブル崩壊だけでなく、IT先端企業への規制強化も設備投資の減少要因だろう。
住宅投資の減少にも歯止めがかからない。2023年、床面積ベースの不動産販売は前年比8.5%減少、新規着工は同20.4%減少した。不動産開発投資(不動産投資)は同9.6%減少した。不動産デベロッパーの資金調達額は13.6%減だった。
それに対して中国政府は、不動産向けの融資規制を緩和した。不動産向け融資を増やすよう銀行への指導も強めた。しかし、12月、中国主要70都市の中古住宅価格は前月比0.79%下落、70全都市で下落した。なかなか歯止めかからない状況だ。