三権の長から祝賀

次に「梅の間」で首相や閣僚など政府の中枢メンバーから祝賀を受けられる。それから再び「松の間」にもどられ、衆参両院の正副議長、国会議員など国会関係者から祝賀を受けられる。ついで「竹の間」において最高裁の長官や判事など司法関係者から祝賀を受けられる。その後、またもや「松の間」で人事院人事官、公正取引委員長などの認証官や都道府県知事・同議長(毎年交代で一部が指定を受ける)などからも、祝賀を受けられる。

これらはおもに憲法上、「天皇」という地位が立法・行政・司法という国家の統治にあたる三権を担う機関より“上位”にあることを、目に見える形で毎年、確認する行事といえる。

憲法の規定では、立法をつかさどり国権の最高機関とされる国会を「召集」されるのは天皇であり、行政の長である首相と司法の長である最高裁長官を「任命」されるのも天皇だ。

日本国の象徴を「見える化」する儀式

以上が午前の行事。

午後2時半からは民族衣装などで正装した128の国や地域の駐日大使らから祝賀を受けられた。こちらは、天皇という地位が国際社会に向けて、形式上、わが国を代表する立場にあることを同じく可視化する行事といえる。

国内の公式な序列においてに三権の長より上位にあり、他国に対してわが国を儀礼的に代表するというのは、普通には元首の役割であり、憲法の規定では「日本国の象徴」にあたる。

毎年行われている新年祝賀の儀は、天皇という地位が統治の仕組みの頂点に位置づけられ、「日本国の象徴」という重大な役割を負っている事実を、儀式として「見える化」する意味を持っている。