原子力事故の損害賠償は原子力損害賠償法(原賠法)の下に行われる。法律は原子力事業者が賠償しきれない場合、政府が国会の議決を得たうえで「必要な援助」をする、としている。しかし天井知らずの賠償に対し、東京電力も、政府も、抑制的な行動を取っているように見える。
国の原子力損害賠償紛争審査会は、11年8月に「中間指針」を策定した。指針は、賠償範囲の外枠を定めたものではなく、最も手堅く見て、事故との間に相当因果関係が認められる損害を類型化したものにすぎない。だが、このような指針の性格を無視し、東電は明示されない対象には賠償しない姿勢さえ見せている。
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