パニック障害発症、最愛の父ががんで急死し病状は悪化
しばらく横になっていれば治るだろう。母親はそのように思ったそうです。
しかし、長女は起きている間ずっと理由の分からない不安感に悩まされ、落ち着きがなくなってしまいました。眠りが浅くなり、食欲は落ち、大好きだった本を読むこともできなくなってしまったのです。
長女が母親に強い不安感を訴え続けたため、母親の知り合いから紹介された心療内科を受診することになりました。
受診の結果、パニック障害と診断され薬を処方されました。しかし、ここで思いがけない事体が発生してしまいました。薬を飲んだところ、身体に赤い発疹(薬疹)がでてしまい、さらに胃の不快感や吐き気に襲われてしまったのです。食事もろくにとれなくなってしまい、長女はさらに衰弱していきました。
医師と相談して薬は漢方薬に変えてもらいましたが、恐怖心から毎日服薬することは難しく、体調は悪化していく一方でした。
さらによくないことは続きます。長女が32歳の頃、父親ががんで急死してしまったのです。
よき理解者だった父親の死に大きなショックを受けてしまった長女は容体が急速に悪化。気力を失い、食事もほとんど取れなくなってしまいました。長女は自室の掃除をすることもできず、布団は敷きっぱなしで、布団や床にカビが生えてしまったこともあります。入浴は月に1~2回あればいい方。湯舟につかると動悸がしてしまうので、シャワーを少しだけ浴びる程度で済ませてしまいます。着替えも月に1~2回程度しかできませんでした。
父親の死後も、長女は母親の運転する車で通院していましたが、車の中で動悸や息切れ、強い不安感に襲われてしまうようになり、とうとう通院することもできなくなってしまいました。
通院もできず、食事の量が極端に減ってしまったため身体はやせ細り、ふらふらの状態になってしまった長女。心配した母親が「いっそのこと入院したらどうか?」と提案してみました。すると長女からは「薬は飲めないし、自分の体はもう駄目だと思う。お願いだからこのまま自宅で静かに死を迎えさせて欲しい。私の人生はもうそれだけしかない」といった返事が返ってきたそうです。そのようなこともあり、母親は無理に入院をさせることもできませんでした。
長女が一切外出できなくなってから2年が過ぎた34歳の頃。先々の収入に不安を覚えた母親は「長女は今後も就労することは難しいだろう。せめて障害年金を受給することができないだろうか?」と考えるようになったそうです。