今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で、最も評価されるべき俳優は誰か。歴史評論家の香原斗志さんは「豊臣秀吉を演じたムロツヨシだ。彼の狂気をはらんだ表情と口調は、史実に残る秀吉の残虐さや狂気をリアルに表現していた」という――。
福島県相馬市で開催される「相馬野成」で 武士の鎧を身にまとう人
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「どうする家康」で輝いていた5人

11.2%。2023年のNHK大河ドラマ「どうする徳川家康」の、全48回の平均世帯視聴率である(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。歴代の大河のなかでも、2019年の「いだてん~東京オリムピック噺~」の8.2%に次いで低い数字だという。

テレビの視聴のし方が多様化した今日の視聴率を、過去のものと一概に比較するのはナンセンスだが、人気の戦国もので、王道というべき徳川家康が主人公だったことを考えると、さびしい数字である。20年の「麒麟がくる」の14.4%、21年の「青天を衝け」の14.1%、22年の「鎌倉殿の13人」の12.7%とくらべても見劣りする。

私は視聴者に受け入れられなかった理由が、歴史のダイナミズムよりメロドラマを優先したこと、登場人物のキャラクターを単純明快に設定しすぎたことにあると考えている。それについては稿を改めるつもりだが、そうはいっても評価すべき点はあった。

とくに人物の造形については、単純なキャラクターに落とし込むことで、小さくまとまってしまう場合が多かった半面、レッテル張りが奏功し、その人物らしさがいきいきと浮き上がることもあった。

そこで以下に、「どうする家康」の全48回に登場した人物で、輝いていた5人を挙げてみたい。