大きな家具は螺旋階段から搬入できず

この物件の特徴ともいえるのが地下から2階までの吹き抜けと螺旋階段。見るからに使い勝手は悪そうだが……。

「引っ越しのときは、大きな家具が入らなくて困りました。チェストは一度分解してから搬入したし、地下に置いてあるソファーも螺旋階段を通すことができなくて、吹き抜けのスペースを使ってひもで吊り下げて降ろしてもらいました。荷物はそんなに多くなかったはずなのに、なんだかんだで引っ越し代は30万ぐらいかかりました。

借りるときに『小学生より小さいお子様がいる世帯には危ないから貸せません』という条件が付いていたんですよね。この吹き抜けと螺旋階段の上り下りが子どもには危ないという理由ではないのかなと。

私は猫を2匹飼っているので、彼らが階段を上れるのか不安でした。でも、すぐ慣れたみたいで、今では勝手に2階から地下まで行き来しています。ただ、引っ越したばかりの頃、猫たちが2階から地下1階まで落ちてしまったことがありました。

ガラス張りの壁がわからなかったみたいで、ピョンって部屋に飛ぼうとしてガラスにぶつかり、そのまま地下まで落下したんです。ヒヤッとしましたが幸い上手く着地してくれて、ケガはなかった」

ゆーきさんがこの部屋に引っ越してきたのは昨年7月のこと。1年間を過ごしてみて、デザイナーズ物件ゆえの困ったこともいくつかあったという。

「やっぱり夏は暑くて、冬は寒いことですかね。夏場だと冷たい空気が下に行って、地下のリビングは涼しいけど、2階はかなり熱がこもってしまいます。冬場はもっと大変でなかなか温まらない。地下のリビングに床暖房がついているんですけど、つけっぱなしにしちゃうと光熱費が大変なことになるんです。普段は3~4万円くらいのところ、1月の光熱費は9万4000円でしたから」

備え付けの洗濯機が故障し、コインランドリーを利用

一見、お得な印象のある“家電付き物件”でもあるこのマンションには、こんな落とし穴も。

「洗濯機は最初から備え付けのものが置いてあったんです。壁に埋め込まれていて、スペースがオシャレに見えるので気に入ってはいたのですが……。それが先日、故障してしまって。メーカーに問い合わせてみたら、家のサイズに合う機種がもう売ってないらしい。管理会社からは『自分で別の洗濯機を買って、空いているスペースに置いてください』って言われたんですが、場所も取るので嫌だなって思って、今のところは近所のコインランドリーで済ませています。

これだけの広さと特殊な間取りは、掃除も大変。以前はお掃除ロボットを2台動かしていたんですが、部屋の形が変わっているせいか、どれだけやっても部屋の間取りを認識してくれず、全然動かなくなってしまいました」

「暮らすには十分だし、スタジオとしては最高」

それでも、ゆーきさんはそこまでの不便さは感じていないようだ。

「居住スペースにしている1部屋だけで日常生活のほとんどを済ませていて、必要なものは手を伸ばせは届く範囲に置いています。料理はまったくしないし、火も一切使わないので地下にあるキッチンは物置兼デスク代わりですね。

とにかく私にとって暮らすには十分だし、スタジオとしてはもう最高ですから今のところ引っ越すつもりはありません。心配なのは、なぜかクモが異常に発生していることと、窓の代わりでもあるガラス張りの壁は一つ一つがとても大きいので、万が一割っちゃったらトンデモない金額を請求されそうな怖さぐらいですかね」