独立起業を成功に導くにはどんな点に注力するといいのか。複数のスポーツジム経営者でスモールビジネス専門コンサルタントの日野原大輔さんは「起業で重要なのはリピーター客をつかむこと。そのためには集客より接客に軸足を置くといい。また、一人勝ちのブルーオーシャン戦略は目指さないほうがいい」という――。

※本稿は、日野原大輔『神・リピート集客術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

トレーニングジムでストレッチする女性
写真=iStock.com/kazuma seki
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小手先の集客テクニックはお客さまに刺さらない

起業における「本当の壁」とは?

小さい資本でビジネスを始める場合、多くの起業家にとって最初にぶつかる壁は「集客」ではないでしょうか。

認知度が低いなかで、イチからお客さまを集めるためにどうすればいいか。いろいろ悩んだ末に、チラシやダイレクトメールを配ったり、ホームページを作成したり、ウェブ広告やSNS広告を活用したりすることもあるでしょう。業種によっては、無料のセミナーやイベントを開催することで、お客さまにとって有益な情報を開示し、認知度を高めようとするかもしれません。

手あたり次第に策を講じている段階においては、悩みはあっても、行動することで前に進んでいる実感があります。しかし、それは本物の壁ではありません。

本物の壁とは、たとえ集客できても、1回限りで誰もリピート客にならないことです。がんばって集客しても、集客しても、自分の商品やサービスに価値を感じてお金を払ってくれるリピート顧客を見つけられないことこそ、大きな痛手であり、絶望であると思います。

その理由は、毎回毎回、初回のお客さまばかりだと、永遠に新規開拓のために労力もお金も使わなくてはならないからです。実は、これこそが自分が成し遂げようと思っているビジネスの速度が落ち、経営者として心の安定がなくなる元凶なのです。

たとえば、あなたがある街で新規ビジネスを始めたとして、そこには住民が100人しか住んでいないとします。その100人にヨガの「無料体験キャンペーン」の案内を出し、全員が体験に来てくれたのに、次の来店が1人もいなかったとしたらどうなるでしょう。

街の住民は全員あなたのことを知っているのに、誰も顧客にならない……。これでは商売になりません。樹木を焼いた灰で農業をするように、別の耕作地に移っていくしかなくなるでしょう。