長期の分散投資にふさわしい商品

2024年に始まる新NISAのつみたて投資枠の対象商品は、従来のつみたてNISAと同じです。「コストが低水準」「分配金を頻繁に支払わない」「幅広い投資対象の値動きを表す指数(インデックス)をベンチマークとする」など、長期・積み立て・分散投資に適した投資信託(公募株式投資信託)と、ETF(上場投資信託)に限定されています。

大江加代『新NISAとiDeCoで資産倍増 人生100年時代の新しいお金の増やし方』(日経BP)
大江加代『新NISAとiDeCoで資産倍増 人生100年時代の新しいお金の増やし方』(日経BP)

2023年9月15日時点で対象となる投資信託は243本と、日本で個人が購入可能な投資信託のうち4%程度に厳選されています。また対象のETFも8本だけです。新NISAのつみたて投資枠の対象商品は成長投資枠の対象商品に含まれるので、成長投資枠で購入することもできます。

そしてNISAは中長期の資産形成が目的ですから、制度の主旨に合った運用が行われるように、2024年以降はつみたて投資枠だけでなく、株式や投資信託など投資対象が幅広い成長投資枠についても、次の4つの条件が付くことになりました。

●整理・管理銘柄の株式は対象外

【理由】上場廃止の可能性が高い株式は長期投資に向いているとは言えません。

●信託期間(運用する期間)が20年未満の投資信託は対象外

【理由】信託期間が短い投資信託の多くは、いわゆる「テーマ型」と呼ばれるタイプで、一時的なブームによって設定され、早期に償還されるものが多いからです。

●ヘッジ目的など以外でデリバティブ取引による運用を行う投資信託は対象外

【理由】デリバティブ(金融派生商品)を使って価格変動幅を何倍にもするようなタイプの投資信託は短期トレード向きだからです。

●毎月分配型の投資信託は対象外

【理由】分配金を毎月出すタイプの投資信託は、資産を取り崩しながら使う際には都合がいいでしょうが、配当を再投資する複利効果がないため資産形成には向きません。

2~4つ目の条件によって、成長投資枠の対象となる投資信託は公募投資信託全体の4割程度にまで絞り込まれる見込みです。

投資信託、ETF及びREIT(不動産投資信託)などの成長投資枠の対象商品については、運用会社などが要件に合致していると判断したものを投資信託協会が取りまとめてホームページ上で公開しています(図表3参照)。2023年中は毎月月初の平日と、12月19日に更新される予定です。