いつの時代も恋愛している若者は3割だけ

実際、出生動向基本調査によれば、18~34歳で恋人がいる割合は、1980年代から最新の2021年に至るまで、男女あわせてほぼ3割前後で推移しており、変わっていません。2021年の男性の「恋人いる率」は21.1%ですが、恋愛至上主義時代などと浮かれていた1982年の同割合も21.9%です。

路上で缶ビールを飲む若者
写真=iStock.com/SAND555
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要するに、恋愛力のある若者というのはいつの時代もせいぜい3割程度のもので、これが私が言っている「恋愛強者3割の法則」なのです。

「結婚離れ」などともいわれますが、1980年代でさえ「結婚したい」と前向きな未婚者の割合は男4割、女5割で40年間ほとんどその割合に変化はありません。

かつて、内閣府が出した白書の中にあった「若者の4割がデート経験なし」というものが大きな話題になったことがありましたが、あれとて正しい事実を伝えているとは言えません。40年前の若者も同様に4割はデート経験がなかったわけで、何も変わっていないわけです。

つまり、婚姻減少は若者の価値観の問題ではないのです。

では、なぜ婚姻数が減ったのでしょうか。

まず、婚姻とは再婚も含みます。初婚と再婚とでその増減に差があるでしょうか。本稿においては、すべて1995年と2022年との間で比較することとします。

大きく減ったのは「夫年上婚」と「職場結婚」

人口動態調査から、総婚姻数は同期間で28.7万組減少していますが、「再婚同士」または「夫婦いずれかが再婚」の場合の数は1.8万組減にとどまり、「夫婦ともに初婚」数が、26.9万組減なので、婚姻数が減ったのは初婚が減ったためと言えます。初婚同士の減少率は41%です。

次に、夫婦の年齢差から婚姻数の減少を紐解くと、ほぼ「夫年上婚」の減少であると結論づけられます。人口動態調査から初婚同士の夫婦の年齢差がわかります。全体的に数自体は減っていますが、元々比率が多かったのは「夫年上婚」の減少が大きく、それが同期間比65%も減少しています。

さらに、結婚した夫婦の出会いのきっかけから見ていきましょう。

これは出生動向基本調査よりその割合と実際の婚姻数とを掛け合わせることで推計することができます。出生動向基本調査は1995年には実施していませんので、1997年と2021年との期間比較を行います。

それによれば、「結婚に至る出会いのきっかけ」でもっとも減少したのは「職場結婚」です。初婚に占める構成比が33.5%から21.4%に減っています。数にして約13万件の減少です。同時に「お見合い結婚(伝統的なお見合いと結婚相談所による結婚)」の比率も下がっています。この「職場結婚」と「お見合い結婚」を合わせた減少数は約16万件です。