甲子園→アメリカ留学→メジャー
MLBのドラフトは、かつては毎年最大50巡目まで、計1500人近くが指名されたが、今季は20巡目まで、最大600人となっている。支配下、育成を含めて120人程度のNPBドラフトと比べて、競争はかなり激しい。しかもMLBには「アマチュアFA」などドラフト以外で入団する選手もいる。ドミニカ共和国、ベネズエラ、日本などからも選手がやってくる。そしてキューバから亡命する選手さえいるのだ。
過去に、NPBを経ずにMLBに挑戦した選手は何人もいる。しかしMLBまで昇格したのは加藤の他には加藤の他にはマック鈴木、マイケル中村、多田野数人、田澤純一の5人しかいない。
現役で言えば、22歳の西田陸浮は東北高校からアメリカのマウントフッド・コミュニティ・カレッジに進み、そこからNCAA(全米大学体育協会)に加盟するオレゴン大学に編入。今年のMLBドラフト11巡目(全体329位)でホワイトソックスに入団。ルーキー、Aで外野手としてプレーした。
佐々木も西田と同じ経路をたどるのではないか。カレッジで語学を学びながら野球をして、アメリカのスポーツエリートが集うNCAA加盟の一流大学に入ってプレーし、実績を残してドラフトを待つ。
なぜわざわざ厳しい環境を選ぶのか
佐々木の選択は、すでに高校生の段階で「将来のスター」とちやほやされている日本とは比べ物にならない厳しい道ではある。
野球だけでなく、NCAA加盟の大学に進むとすれば、佐々木には勉学という厳しい壁もそびえている。NCAAはスポーツ学生の団体ではあるが、スポーツだけでなく勉学でも高いレベルを求められる。履修成績が悪ければ、試合に出ることはできない。
そもそもそれ以前に、英語で授業を受け、レポートを提出することができる語学力が必要なのだが。
単にアメリカで野球をする目的だけなら、高校の先輩、菊池雄星、大谷翔平のようにNPBで実績を上げて、ポスティングでMLB球団に移籍する方が、確実な道のように思える。MLB側もこうした選手はマイナーを経ずにMLBで起用してくれる。
しかし佐々木は、既にレールが敷かれている道を歩こうとはしなかった。これはなぜなのか?