日本の駅伝監督は契約形態がさまざま

大学にとって、もうひとつ大きなリソースはバスケットボールである。バスケットボールとフットボールの強い学校が微妙に違っているところが私にとっては面白いところ。さて、バスケの年俸トップ3のヘッドコーチたちは……。

1 ジョン・カリパリ(ケンタッキー大学)…8億5000万円
2 ビル・セルフ(カンザス大学)……………6億円
3 トム・イゾー(ミシガンステイト大学)…5億7000万円

カリパリはNBAでのコーチ経験もあるが、彼は能力の高い高校生に対し、「ケンタッキーで1年過ごしたら、すぐにプロに行けばいい」という「ワン・アンド・ダン」、1年経ったら、ハイおしまいという戦略で成功を収めてきた。日本におきかえると(実際にはあり得ないけれど)、箱根を1年生の時だけ走ってプロランナーに転向するようなイメージである。

翻って日本の大学の指導者はどうか。アメリカの大学の指導者は、すべてプロ契約だが、日本では契約形態が大学によってだいぶ違う。

まず、大学で教鞭をとりながら指導をしている場合がある。青山学院の原晋監督は地球社会共生学部、神奈川大学の大後栄治監督は人間科学部の教授であり、授業を担当して一般の学生相手にも教えている。陸上をやっていなくとも、入学すれば監督たちの授業を取れるという寸法である。私ならば、取ってみたい。

日本は大学がプロコーチを雇うケースが少ない

さらには、大学当局と監督の契約をしている場合がある。これも様々な形での契約があり、大学職員として雇用されるケースも多い。大学の仕事をしながらコーチを続ける場合もあるし、陸上競技の指導専念という場合もある。

こうした雇用形態について質問を投げかけるケースは稀だが、中大の藤原正和監督は就任するにあたって、様々な経緯があったが、待遇面でも話が違っていたようだ。

「急遽、決まったこともあり、大学側からは正規職員として雇用は出来ないと言われまして。私はHondaでは正社員で、14年には資材担当の主任試験にも合格したところで、ちょうど家のローンも組んだところだったんですが……。結果的には1年が経過した時点で正規雇用にはなりましたが、バタバタとスタートしたというのが実情でした」

日本では、大学がプロコーチを雇うケースがまだ少ないから、こうしたバタバタが起きてしまうともいえる。

トラックでコーチの指導を受ける陸上選手
写真=iStock.com/franckreporter
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