相手に「借り」をつくると不利な条件を飲まされる

身を守るうえでの大原則は、できるだけ相手に「借り」をつくらないようにすることです。特に、交渉前に相手に借りをつくってしまった状態で交渉に入ると、不利な条件を飲まされてしまう可能性があります。

防衛方法として手っ取り早いのが、相手からのものや行為の受け取りをいっさい拒否すること。ただ、なかなかすべてのものを拒否することは難しいですよね。そのため、相手からあたえられるものを受け取らざるを得ない場合は、以下の方法を組み合わせながら対処しましょう。

・等価のものをあたえる
こちらも、相手があたえてくるものや行為に合わせてあたえ返します。
たとえば、相手が手土産を用意してきそうなら、こちらも手土産を用意しておく。会食での支払いは割り勘にする。このようにすることで、借りがチャラとなり、交渉内容そのものに影響が出にくくなります。

・将来的に返そうと思っておく
相手から何かを受け取っても、すぐに何か返そうと思わないことです。「いつか返せばいいや」程度に思っておけば十分とします。

よくも悪くも非常に強力な武器

・相手からあたえられたものや行為は「策略」だと考える
相手からあたえられたものや行為は、単なる「好意」ではなく、交渉を有利に進めるための「策略」だと思って受け取ります。そうすることで、「策略」に対しては返す必要がないと考えることができます。

犬塚壮志『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』(サンクチュアリ出版)
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・相手があたえてきたものや行為を低く見積もる
たとえば、相手からあたえられた情報は、相手にとってはたいしたものではないと思うことです。また、相手はその情報を他の人にも同じようにあたえていると考えます。そう思うことで、相手からもらったものや行為に対する返報性は働きにくくなります。

多少、歪んだ捉え方になってしまうかもしれませんが、ビジネスシーンにおいて返報性の原理は、よくも悪くも非常に強力に働きます。だからこそ、不利な条件を飲んで自分や自分の周囲の人に迷惑をかけないよう、過剰なくらい対応策を練っておくことをおすすめします。

・人は好意を受けると返さなければという心理が働く(返報性の原理)
・交渉では相手に先に譲歩したり、相手の話をよく聞いてあげたりすることで返報性の原理が働き、自分にとって有利な条件を引き出しやすくなる
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