あなたはなぜ、数学も理科も捨ててしまったのか
お子さんは理科が得意ですか?
あなた自身は理科が得意でしたか?
「わからない」とおっしゃる方が多いのではないでしょうか。「算数ほど嫌いではなかったけど、得意でもなかった」と。
理科というのは、ある意味、おそろしい教科です。小学校のうちは、暗記すればテストでいい点が取れる。算数のように、はっきり実力差が見えません。
ところが、中学生になり、同じような暗記中心の勉強を続けていると、壁にぶち当たります。理科好きだった虫博士や星少年ですら、力学の応用問題に歯が立たなくなるのです。苦手意識なんてなかったはずなのに、突然、点が取れなくなる。高校に入ると完全に脱落。理系コースが選択肢から消える羽目に……。
すらすらと理科の応用問題を解き、トップクラスで輝き続ける頭のいい子と、脱落する子は、どこが違うのか。そもそも、どこが分岐点だったのでしょうか。
脱落する子でも、基本中のキホン、お約束問題なら解けるのですよ。野球にたとえると、1対1のキャッチボールまでは可能。でも、「あとはすべて無理」という状態です。「バッターが打ったボールを捕れ」と言われたら、さっぱり。条件が変わったとたん、応用力を失ってしまうのです。
一方、頭のいい子は応用問題を目の前にしたとき、どう対処すべきかを知っています。直感的に解くのではなく、ロジックに従います。そのロジックが理科においてもっとも重要なのです。
実は、理科の問題には、ほんの数パターンしかありません。代表的なのは「いくつかの条件が与えられて、それらを整理することで、抜けている条件を類推する」という型です。
頭のいい子はこの型の問題に対して、「謎解き」でもするかのように、考え方を当てはめながら、答えに近づいていきます。私は、この「謎解き」を「試行錯誤」ならぬ「思考錯誤」と呼んでいます。これこそが、解き方の王道。
ものの名称や覚えれば済むことにとらわれている子は「謎解き」の感覚を持っていません。どこから手を付けていいかわからず、立ち尽くしてしまうのです。中学受験の難関校入試、東大や京大の入試には、知識だけで対応できる問題はほとんどなく、条件だけが与えられ、あとは「謎解き」の力が試されます。
小学生のうちに「謎解き」の感覚を身につけておけば、中学レベルの力学で挫折することはなく、さらに磨けば、難関大学合格へとつながるでしょう。
小学校や塾で、優秀な教師に教わった子はラッキーです。優秀な教師は現象を教えるだけでなく、「なぜ、そうなるのか」まで考えさせ、ヒントとして「謎解き」のツールを教えているからです。
中学受験生は、少し先を行っていて、5年生にもなれば、「謎解き」の方法をどんどん教わっているはずです。
もし、学校でそんな機会がなく、中学受験もしないなら、「謎解き」の経験を家庭で積ませるしかない。一助となるのが、『頭がよくなる理科ドリル』(プレジデントファミリー2012年10月18日発売号特別付録)というわけです。