査定グセの背景にあった「父親への見下し」

よく話を聞いてみると、K香さんの婚活がうまくいかないのには、致命的な原因があった。それは、「査定ぐせ」である。

K香さんは仕事柄、多くの人の採用面接や人事面談をしてきている。そのせいか、お見合い相手のこともつい人事部長目線で「査定」してしまっていたのだ。

「社会人歴20年なのに、これぐらいのこともできないのか……」
「その役職で、この対応や知識量なの?」

などと、もちろん口に出したことはないが、心の中で「不合格」のジャッジをしていた。

仕事柄、ついつい人を評価してしまうのかもしれないが、残念ながら婚活で出会う相手を「査定」して「ダメ出し」しているうちは、人生のパートナーに出会うことはできないと断言することができる。

その理由は2つある。

自分が幸せになることを「自分自身が許さない」

ひとつは、上から目線で自分を「査定」するような相手と、結婚したいと思う人はまずいないから。たとえ口には出さなくても、目の前のお相手に対して「こういうところが足りないんだよね」などと思っていると、目線や態度などから、その空気は本人に伝わってしまうものなのだ。

婚活では、自分が低評価を下しているお相手から先に断られるというケースは意外に多い。誰だって、「自分を下に見ている(=バカにしている)」と感じさせる相手と「また会いたい」とは思わないからだ。

屋外で口論するカップル
写真=iStock.com/FG Trade Latin
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ふたつめは、「人を見下す」ことは、自分自身を見下すことにもつながってしまうから。このことについて、すこし詳しく説明したい。実は、女性が周囲の男性をどう見るかは、自分の父親をどう見ているかに密接に関係している。K香さんのように男性を見下してしまう女性の中には、自分の父親を見下している人がとても多いのだ。

K香さんの父親は、若い頃から母親に苦労をかけた挙句に、K香さんが中学生のときに借金をつくって家を出ていった。母親は苦労してK香さんと妹を育て、父親が残した借金をコツコツ返し、社会人になってからはK香さんが肩代わりして借金を完済したのだという。

そんな父親を恨み、軽蔑しているというK香さんを責めることはできない。しかし、婚活を成就させて幸せになりたいなら、「親を見下す」というフェーズからは卒業し「自己否定」をやめるステップが重要となる。

たとえどんな人物であったとしても、親は自分を生み出した人であり、子どもは潜在的に「親を愛したい」「親を尊敬したい」と思っている。その存在を自分の「下」に置いてしまうと、無意識のうちに罪悪感にさいなまれ、自分を責め、否定するようになってしまうのだ。

自己否定をしている人の婚活がうまくいかない原因に、自分が結婚して幸せになることを「自分自身が許さない」ということがある。特に、親との関係にわだかまりがある人の中には、「自分が幸せになると、親の子育てを肯定することになる」と、(無意識のうちに)みずからブレーキをかけてしまう人すらいるのだ。

K香さんの婚活がうまくいかない原因にも、根底に「自己否定」があったのだ。