社名変更はコーポレート・ガバナンスに関わる問題
ジャニーズ事務所が10月2日に、今後の会社運営の方針について公表するという。藤島ジュリー景子・前社長が今も100%保有する株式の扱いや社名変更など、「会社」としてのジャニーズ事務所のあり方を大きく左右することになる。
9月7日に開いた記者会見では、故ジャニー喜多川氏による元所属タレントらへの性加害を事務所として公式に認めた。その上で、被害者への補償に取り組む方針も示したが、会社としてのジャニーズ事務所のあり方については、方向性を示していなかった。
というのも、藤島氏が社長は辞めたものの、引き続き代表取締役に留まったことや、藤島氏が全株式を持つオーナーであり続けていることに、批判の声が上がっていた。さらに当初、会社としては「ジャニーズ」という社名は変更しない姿勢を見せたことで、「今までと何も変わらない」という声も出ていた。
2日にどんな方向性を示すかは分からないが、株式保有のあり方や社名変更が問題視されるのは、「会社とは何か」「会社は誰のものか」といった根本的な問題が背景にある。いわゆるコーポレート・ガバナンスの問題だ。
経団連と経済同友会で見方が大きく分かれた
当初は「今まで通り」で行こうとしたジャニーズ事務所が、株式問題や社名について方向性を示さざるを得なくなった背景には、所属タレントをCMなどに使っている企業が相次いで、契約を打ち切るなど、ジャニーズ事務所との関係を見直す動きを見せたことがある。日本航空や東京海上日動火災保険、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリーなど15社以上に及ぶ。問題なのは事務所、しかも故人の元社長で、タレントに罪はない、という声も一部にはある。
経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)も記者会見で、「ジャニーズのタレントの人たちはある意味被害者であって加害者ではありません。日々研鑽を積んでいる人の機会を長きにわたって奪うということはまた問題もあると思います」と述べていた。
一方で、経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリー社長)は「児童虐待に対して真摯に反省しているか、大変疑わしい。ジャニーズ事務所を使うと、児童虐待を認めることになる」とし、「サントリーとして(所属タレントを使わないという)明確なスタンスを示した。タレントの方には心苦しいが、他の事務所に移るなど、手があるのではないか」とした。見方が大きく分かれたわけだ。