「この勝ちは大きいよ。最後まで諦めへんかったら、こういうことは起こるんよ」

ミラクルモードに入った岡田オリックスに、周囲の期待も盛り上がってくる。

しかし、ここが関西のチームらしさだ。

オーナーも岡田の母・サカヨさんも「アレやろ?」

激励に来たオーナーの宮内義彦も「言いません。監督が言わないのに、私も言いません。『アレ』のことですよね? 言いませんよ」

京セラドーム大阪に、毎試合のように応援に訪れていた岡田の母・サカヨさんも「アレやろ? 言うたらアカンから、私も言わんようにしてるんよ」

報道陣と岡田の会話でも「アレ」が頻出し、決して「優勝」のワードを出さなかった。その“努力のかい”もあったのか、交流戦の最終戦で見事に優勝を決めると、球団は「交流戦優勝Tシャツ」を作成した。

左胸には「アレしてもうた」という、どでかいロゴがプリントされていた。

「ホンマか? 作ったんや?」

岡田も、大笑いしていた。番記者だった私も、球団から“アレTシャツ”をいただいたが、それを着て外へ出る勇気(?)はなく、引っ越しの際に処分してしまった。

今となっては、取っとけばよかったかな……。

それはともかく、岡田は阪神復帰とともに「アレ」をフル活用している。

《今年から3連覇や!》岡田彰布はなぜ阪神タイガースを“再生”できたのか…藪恵壹、藤田太陽、中込伸ら阪神OBの証言で辿る“優勝の真実”〉へ続く

オリジナルサイトで読む