NPRは、実際にジョーンズさんが生成した写真のビフォア・アフターを掲載している。彼女の場合は主に、服装を変更するためにアプリを使ったようだ。加工前の写真では、ブルーにホワイトのピンストライプという、比較的カジュアルなワイシャツ姿で写真に収まっている。

これをベースにAIは、小さな金ボタンのついた黒のドレスシャツ、その上からグレーのジャケットと言うフォーマルな衣装を生成した。

髪型、服装、カメラとの距離感も変幻自在

ジョーンズさん自身の姿にも、やや手が加わっている。表情は変わらないものの、カメラとの間に適切な距離ができた。いかにも自撮り然とした印象から脱却し、顔が画面に占める割合が小さくなったことで小顔の印象も与える。

また、肩にかかる髪がAIで修正され、セミロングのヘアスタイルになっている。服装、髪型、カメラとの距離感が変更されたが、取り立てて不自然な点は感じられない。強いて言うならば、足された毛髪の流れにややフェイク感はあるが、はじめからAIだと疑って注視しなければ多くの人は気づかないだろう。

ジョーンズさんは、フォーマルなジャケット姿のほかにも、グリーンのシースルードレスの生成も楽しんだようだ。首周りには花びらをモチーフにした複雑で立体的な装飾が加筆されているが、地肌に落ちる陰影も含めてほぼ違和感がない。

AIが生成したフォーマルなジャケット姿を会社に提出したが、NPRによると「今のところ、誰も気づいていない」のだという。

SNSでも話題に

AI顔写真を活用しているアメリカの人々は、ジョーンズさんだけではない。ハッシュタグ「#remini」はTikTokでも人気のタグのひとつになっており、現在までに18万6000本以上の動画が投稿、合計視聴数は20億回にのぼる。

壁に掛かった異なる人々のポラロイド写真
写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです

テック・クランチは、TikTokユーザーのグレイスさんの事例を紹介している。彼女は7月、Reminiを活用してフォーマルなプロフィール画像に変換する方法を投稿。511万回再生される人気コンテンツとなった。

元となった写真は、彼女の車内の運転席で自撮りしたスナップショットなどだ。そこからAIは、フォーマルなグレーのスーツ姿や、全身をアイボリー系でまとめた清楚な印象のショット、そして快活な印象を演出するオレンジ色のジャケット姿など、さまざまなパターンを生み出した。

背景もスタジオ撮影並みの単色でまとまっており、構図やポーズも自在だ。胸から顔にかけて収めたいわゆるバストアップから、はにかんだ上目遣い気味のポーズ、そしてポケットに片手をかけた自身ありげな姿勢まで、幅広いパターンがAIから提示された。

証明写真機より魅力的、写真館より安くて手軽

作成は手軽だ。すでにスマホにある写真をいくつかアップロードするだけで、バリエーション豊かな写真がいくつも得られる。

Reminiの場合、アプリで最大12枚までの顔写真を送信し、提示されたスタイルの中から好みのものを選択する。すると、AIが指定のスタイルに沿った仕上がりの新たな写真を生成する。