まずは気になる点の洗い出しを
社内で研修を行うのがお勧めですが、その際には「準備」が大切になります。
まずは上司・先輩たちが、ビジネスマナーの教育を十分に受けていない若手社員について、気になる点を洗い出して、取りまとめます。
この際には、担当者がメールでアンケートを取り、それをまとめるという安易な方法ではなく、しかるべき人たちが集まって話し合いをします。挙げられた点をあいさつ、電話応対、ビジネスメールの書き方、ミーティングでの態度などのテーマに分類することになるでしょう。
そして、それらに改善のテーマとして扱う際の優先順位をつけていきます。
こうした段階から外部業者に協力を依頼する場合でも、丸投げすることなく、十分に相談をしましょう。
上司や先輩たちには、さまざまな想いがあっても、研修の担当者が熱心でないケースもありますから、要注意です。
「○○さんが、これが大事と言っていたのでカバーしてください」「○○課長は○○にこだわっていたので、これも」と、皆が話し合って決めたはずの「改善の全体像」を無視して注文してくる人もいます。
それだと本筋から外れてしまうとか、時間が足りなくなると説明しても、「何とか、どうにかしてください」の一点張り。こんな担当者はめずらしくありません。
一般的な階層別研修と異なり、カスタムメイド的なつくり込みが必要ですから、このあたりは丁寧に進めたいところです。
例を用いた演習が効果的
会社に取り組む意思があれば、対策を講じるのは難しくありません。
若手社員には、ビジネスマナーの研修として、本来のやり方はこうですと、演習を交えて説明することになります。
その研修のために、コツをご紹介しましょう。
それは前出の「選出したテーマ」それぞれについて、(パンデミック中に会社内で実際にあった)例を用いて演習を行うことです。
たとえば、ビジネスメールの書き方では、上司や先輩が気になったものを(書き手の許可を得て)、受講者全員に見せます。
前出のフォントや文字級数が統一されていないメール文は、皆に見せると、自ずと彼ら自身が、おかしいと思う点を指摘しはじめます。すべてを正しく指摘できるとは限りませんが、これが最も効果を期待できるやり方です。
間違っているところ、修正の仕方を一方的に教えるのではなく、受講者にグループを編成してもらい、各グループで話し合い、発表してもらいます。
これをすることで、誰がどんな理解をしているかも把握できるものです。
また、このグループワークは団体行動を上手にするための訓練になります。これがパンデミックの間に実施できなかったことでもありますから、このグループワークから学ぶことは多いはずです。
これに付け加えるとすれば、受講者である若手社員からは、ふんだんに質問を受け付け、上司や先輩からは、十二分な受け答えをすることでしょう。