「3日間禁欲をすると精子の状態がよくなる」は間違い

タイミング法は、薬をまったく使わずにタイミングだけを見る方法と、薬を使って排卵をコントロールする方法の2通りがあります。

浅田義正、河合蘭『不妊治療を考えたら読む本』(講談社ブルーバックス)
浅田義正、河合蘭『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉』(講談社ブルーバックス)

薬を使わない方法は、医者に通わずに自分たちだけでタイミングをはかる方法とあまり変わりません。でも、月経不順などがあって、自分では排卵の時期がうまくとらえられない場合にすすめられます。妊娠率が高いのは薬を使うほうですが、薬が強すぎると複数の卵子が排卵となるため多胎妊娠がやや増えます。

妊娠できる期間のセックスの回数は、多いほうがよいと考えられています。精子はできてから日が経っていないもののほうが運動性が高く、妊娠させる力が強いことが今日では明らかになっています。男性への無理強いは禁物ですが、これまでよく言われていた「3日間禁欲をすると精子の状態がよくなる」などという考え方は間違っています。

タイミング法の自己負担額は3000~4000円

排卵後は、受診して確実に排卵したことを超音波検査で確認し、前述の「LUF(黄体化非破裂卵胞)」などが起きていないかどうかを調べます。排卵後の卵巣を見ると、袋の中の水分がまだ残っていればつぶれた形をした卵胞が確認できますが、まもなく見えなくなります。ですから一般的に言って、超音波で見て卵胞が消えていたら、排卵されたということです。また、黄体期の中盤(排卵から7日目くらい)にも一度受診し、血液検査をして、妊娠の維持に必要なホルモン「プロゲステロン」の値を調べます。

そして妊娠判定の日を設定します。妊娠判定は、排卵から14~15日目です。

医師にかかり、薬を使ってタイミング法を行う場合の費用は保険でカバーでき、1周期あたりの自己負担額は3000~4000円です。年齢や回数の制限はありません。

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