NISAやiDeCoは老後のためにフル活用したい

NISAやiDeCoの活用において、老後資産形成をにらんでほしい最大の理由が「リタイアまでに資金準備を完成させる」必要があることです。住宅ローンは先に借りて後から返します。教育費も足りないなら借りることができます。しかし、老後資金だけは後で「返す」ことができないのです。

仮につみたてNISAの水準である年40万円を40歳〜65歳まで継続したとすれば、25年で、元本で1000万円、運用益年4%の上乗せで1714万円の資金準備に相当します。同様にiDeCoに月2.3万円を25年継続したとすれば元本で690万円、運用益年4%の上乗せで1182万円の資金準備に相当します。

もし40歳くらいのスタートを考えたとしても、こうした制度をしっかり活用すれば「老後に2000万円」は怖くないというイメージがつかめるはずです。

一方で、iDeCoの枠が小さい人たちはiDeCoでの準備額が小さくなってしまうことに注意が必要です。この場合、NISAの積極的な活用と取り崩しの抑制が求められます。あるいは夫婦でiDeCoを2口座開設しておき、枠を2倍にすることも有効でしょう。

iDeCoの評価損益運用リポート
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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すでに準備が行われている「老後準備資金」も知っておく

一方で、「老後に2000万円」は2000万円を全額準備するわけではありません。「夫婦の合計年金額」「夫婦の合計退職金額」などもここにカウントすることができるからです。

そもそも共働き夫婦であったことで、専業主婦世帯より月5〜6万円年金額が多かったとすれば、それだけで老後に2000万円は解消されてしまうインパクトを秘めています。妻の厚生年金がどれくらいになるかはねんきん定期便およびウェブのねんきんネットで知ることができます(将来の見込額の試算も可能)。

あるいは、夫婦それぞれ1000万円の退職金をもらえたとすれば、これでも老後に2000万円のメドが立っています。こちらも制度の有無や水準額の認識が低いので、自分の会社制度をよく確認しておきましょう。