デジタル競争力で韓国、台湾、中国にも負ける
図表4は、スイスのシンクタンク「国際経営開発研究所(IMD)」が発表しているデジタル競争力ランキングである。
これを見ればわかるように、日本は29位であり、韓国、台湾よりもはるかに低く、中国よりも低い。またイギリス、ドイツ、フランスなどの先進国と比べても低い。
このデジタル競争力ランキングは、IMDが独自に分析した結果であり、真に客観的なデータとは言えない。しかし、日本が世界から「デジタル競争力は大したことはない」と思われているということは、否めない事実である。
デジタル分野というのは、最先端の科学技術であり、この分野で後れを取るということは、科学立国としての立場がかなり危ういということでもある。
20年前までは日本はデジタル大国だった
20~30年前まで、日本は世界に冠たる科学立国であり、デジタル大国だった。
携帯電話をいち早く実用化したのも、デジタルカメラ、カーナビ、インターネットが利用できる携帯電話、カメラが搭載された携帯電話などを最初につくったのも日本だったのである。パソコンの原型とも言える小型電卓や、いまではデジタル分野では欠かせないアイテムであるフラッシュメモリーやSDカードをつくったのも日本なのである。
この20~30年で、日本のデジタル競争力が急速に落ちてきたのは、やはり「安易な海外進出による技術流出」「雇用を大事にしなかったことによる人材難」が大きな要因と言える。また国全体の視点で言えば、高等教育をおろそかにしてきたことが大きく影響しているのだ。
国や大企業が自国民を大事にせずに、目先の収益ばかりを追い求めた結果が、デジタル競争力の低下に如実に表れているのである。