男性育休取得に熱心なのに男女賃金格差が激しい業界

ところで男性育休取得率、女性管理職比率、男女の賃金格差の統計を見ていて、不思議な現象に気がついた。男性の育休取得に熱心な企業ほど女性の活躍推進に注力し、女性の管理職比率も高くなると思われる。当然、男女の賃金格差も縮まると予想されるが、業種別で比較すると実はそうなっていないのだ。

その典型が「金融・保険業」だ。日本生産性本部が調査した業種別の男性育休取得率は「金融・保険・不動産業」がダントツの82.6%。2位の「農林水産業」の73.5%を除くと、他の業種を大きく引き離している(図表1)。

これは労働者全体でも変わらない。前出の厚労省の調査で最も高かったのは「金融業、保険業」の37.28%。続いて「医療、福祉」の25.99%、「生活関連サービス業、娯楽業」の25.53%、「情報通信業」の24.58%だった(「雇用均等基本調査」)。

また、女性管理職比率でも「金融・保険・不動産」は、サービス業の19.5%に次ぐ2位の14.8%である。全体では決して低くはない(図表2)。

一方、男女の賃金格差は業種別で最も格差が小さかったのは情報通信業の75.4%だが、金融・保険・不動産業は64.7%。全業種の中で最も格差が大きい。

男女の賃金格差については、日本経済新聞が7月10日までに厚生労働省のデータベースに開示した約7100社の集計・分析結果を発表している(7月14日朝刊)。それによると、主要32業種で男女間の賃金格差が最も大きかったのは金融・保険の39.9%だった。男性100%に対し、女性は約60%にとどまる。2位が小売・卸売の35.9%だった。

メガバンク女性社員の平均賃金は男性の4割程度

実際にはどうなのか。メガバンクや大手生保の個別企業を見てみよう。みずほフィナンシャルグループの有価証券報告書によると、みずほ銀行の男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合は41.8%(全労働者)、正社員の間でも43.1%と、男女の格差が極めて大きい。三井住友銀行も45.4%(全労働者)、正社員間は52.0%となっている。

大手生保の住友生命も36.5%(全労働者)、正社員間は35.6%と男女の格差が大きい(厚労省「女性の活躍推進企業データベース」)。一方、この3社は男性育休や女性活躍ではずば抜けて優秀だ。みずほの男性育休取得率は106%、女性管理職比率(課長相当職以上)は18.7%だ。三井住友も男性育休取得率が88.9%、女性管理職比率は23.7%。住友生命にいたっては男性育休取得率106.2%(事務系職員)、女性管理職比率48%であり、3社とも女性活躍では日本の先頭を走っている。