夏「休み」に宿題を出しても代行業がボロ儲けするだけ

しかし、筆者が夏休みの宿題に関して声を大にして言いたいのは、この令和の新時代に、昭和時代の悪習がそのまま残っているのはおかしいということである。

拙著『不親切教師のススメ』(さくら社)でも書いたように、子供の主体性を伸ばし、個性と多様性を尊重しようという時代に宿題を出すのであれば、個人差への配慮が必須である。それができないのであれば、宿題を出すこと自体を諦めたほうがよい。そもそも夏「休み」なのである。

母親と一緒にロボットのおもちゃを作る子供
写真=iStock.com/simon2579
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また昨今、インターネット上に「宿題代行業者」が氾濫して好き放題に大儲けしている惨状に現場の教員たちはみな困り果てている。業者はドリルの宿題への回答はもちろん、読書感想文や自由研究まで「代行」している。もはや学力や学習習慣を身に付けさせているのではなく、お金で解決という処世術を身に付けさせる残念な結果となっている。こうなってくると、宿題を出し続けることが子供のためなのか代行業者を儲けさせるためなのかわからなくなってくる。

こうした長期休暇に「大量の宿題を出す」日本の悪しき文化をいいことに、今夏、かなりの確率で生成AIを「不正活用」する子供たちが出没するに違いない。それは残念な話だが、それ以上に厄介なのが生成AIを駆使した宿題代行業者がさらに跋扈ばっこする恐れがあることだ。

彼ら業者は少ない人数と手間で一挙に処理できるため、より安価に「サービス」が提供できる。つまり、これまで以上に大衆化が進む。「常識」とまではいかないが、宿題の「苦しみ」から逃れるために安易に手を出してしまう親子が多く出てもおかしくない。

そうした業者を少しでも駆逐するためにも、生成AIの使用可否を考える以前に、学校は読書感想文や自由研究を含む大量の宿題を課す現在の教育の在り方そのものを見直すほうが先なのではないか。筆者のそうした意識を共有する教員仲間は数多い。

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