光あるところに陰あり。名将いるところに参謀あり。表舞台に決して立たず、情報の収集と分析で集団を勝利へと導く群像たちの実像とは――。

水能く舟を浮かべまた水能く舟を覆す

これまで参謀のあるべき姿について述べてきたが、現代における参謀は、その必要性が変わってきている。現代のようにITが発達し、情勢の変化が激しく、何事にもスピードが求められるようになると、参謀と将のような役割分担をしている余裕がなくなる。

作家
童門冬二

1927年、東京生まれ。東京都広報室長・企画調整局長・政策室長などを歴任。79年、作家活動に専念。人間管理と組織運営の要諦や勘所を歴史と重ね合わせた作品で、99年春、勲三等瑞宝章を受章。

参謀の機能と、将の決定能力を兼ね備えた人材が求められている時代なのだ。言葉を換えれば、「将も参謀の能力を持つことが必要」ということである。