高配当株・増配株はどう選ぶ?

高配当株・増配株の上位10銘柄がわかったら、あとはこれらに投資すればOKというほど、投資は楽勝ではありません。配当金がたくさんもらえたとしても、資産の売却を考えたときに、肝心の株価が下がってしまえば元も子もないからです。

配当利回りは「1株当たりの配当金÷株価×100」で算出されます。

「株価」が計算式に入っているので、配当利回りが高い銘柄の中には、「株価が下がって配当利回りが高くなっている」銘柄が入っている可能性もあります。株価が下がる要因はさまざまですが、個別要因で大きいのは業績悪化でしょう。

配当利回りだけ見て高配当株に飛びつくと、資産を減らしてしまいかねません。また、連続増配もあくまで過去の実績であって、今後も増配を続ける保証はないことに注意です。会社の業績や財務が悪化すれば、増配をしなくなるどころか、配当を減らす減配や、配当をなくす無配を行う可能性もあります。

高配当株・増配株のチェックポイント

高配当株・増配株は「好業績かどうか」「財務は健全か」などを確認する必要があります。具体的には、次のポイントを確認しましょう。

●高配当株・増配株のチェックポイント①:売上高や営業利益が大きいか

売上高は会社の活動で得られた収入の合計額です。年々右肩上がりになっているかをチェックします。また、本業で上げた利益を表す営業利益(売上高から売上原価と販管費を差し引いた残り)も一緒にチェック。過去3〜5年と今後2年間の予測が右肩上がりで伸び続けている会社が有望です。

●高配当株・増配株のチェックポイント②:営業利益率・経常利益率が高い

営業利益率は売上に占める本業で稼いだ利益の割合、経常利益率は営業利益からさらに営業外収益・費用を足し引きした、会社の収益力を測る指標です。同じ業種の他社と比べて高いなら、利益を稼ぎ出す力が強いと判断できます。

●高配当株・増配株のチェックポイント③:1株当たり利益(EPS)が年々増加している

1株当たり利益とは、会社の最終的な利益である当期純利益を発行済み株式数で割ったもの。1株当たり利益が大きく、年々増えている会社は堅実に成長していることを表します。

●高配当株・増配株のチェックポイント④:借金が少ないか

会社の成長には、レバレッジ(借金)が欠かせません。とはいえ、度を超えた借金があると財務的に苦しくなります。会社にあるお金のうち、返さなくていい部分(自己資本)の割合を示す「自己資本比率」をチェック。50%以上だと安全性が高いと判断されます。

また、会社の有利子負債が少ないこと、利益剰余金が多いことも判断材料に。有利子負債は、利子をつけて返さなければならないお金ですので少ないほど健全です。また会社が蓄えている利益剰余金が多いということは、それだけ経営が順調だということを表します。

●高配当株・増配株のチェックポイント⑤:不況に強い業種か

業績や株価が比較的安定している、不況に強い業種の銘柄がいいでしょう。不況に強い業種には、食品、医薬品、電力・ガス、鉄道、通信などが該当します。そうした業種の好業績銘柄に投資しておけば、配当金も安定して得られる期待ができます。